『アングスト/不安』あらすじ・ネタバレ感想!狂気の殺人鬼の実話を映画化!

『アングスト/不安』あらすじ・ネタバレ感想!狂気の殺人鬼の実話を映画化!

出典:『アングスト/不安』公式ページ

本作『アングスト/不安』は、1980年にオーストリアで実際に起こった殺人事件を基に1983年に作られた実録犯罪映画です。

各国で上映禁止となり、日本でもビデオしか発売されていませんでしたが、2020年7月3日から公開され話題を呼んでいます。

この事件は、オーストリアの犯罪史上例のない猟奇殺人事件と言われており、殺人鬼を演じた怪優アーウィン・レダーの演技力が作品の狂気を高めています。

ポイント
  • 主演俳優アーウィン・レダーに注目
  • 上映禁止になるほどの衝撃的殺害描写
  • 制作から時を経た今だからこそ、観て欲しい作品

それでは『アングスト/不安』をネタバレありでレビューします。

『アングスト/不安』作品情報

『アングスト/不安』

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

作品名 アングスト/不安
公開日 2020年7月3日
上映時間 87分
監督 ジェラルド・カーグル
脚本 ジェラルド・カーグル
ズビグニュー・リプチンスキー
出演者 アーウィン・レダー
シルヴィア・ラベンレイター
エディット・ロゼット
ルドルフ・ゲッツ
音楽 クラウス・シュルツ

【ネタバレ】『アングスト/不安』あらすじ


1980年、過去最悪の凶悪犯罪者としてその名を刻んだのはK(アーウィン・レダー)でした。

彼は無関係の一家を自らの快楽のために無慈悲にも、一人一人彼自身の手で時間をかけて殺しています。

『アングスト/不安』

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

一人目は高齢女性(エディット・ロゼット)を首を絞めて殺し、次に車イスを利用している彼女の息子(ルドルフ・ゲッツ)、そして最後に娘(シルヴィア・ラベンレイター)の三人を惨殺しています。

三人目の若い女性に至っては、体中を刺しながらレイプし、大量の血を飲むなど、サイコパスさながらの行動を見せています。

Kは死体を車のトランクに詰め込むと一目散に殺害現場を後にしますが、追ってきた警察官に車のトランクの中に隠してあった死体を発見され、物語は終わります。

【ネタバレ】『アングスト/不安』感想

怪優アーウィン・レダーの演技力

『アングスト/不安』は、物語の全体の約半分以上が、一家惨殺シーンで占められています。

ターゲットにした家族を何度もなぶり殺しにし、虐殺する主人公の行動に怒りや悲しみ、嫌悪感、負の感情を抱かずにはいられなくなります。

一家惨殺をテーマにした作品はたくさんありますが、本作ほど殺害現場を壮絶に表現している作品はほとんどありません。

サイコパスに対する描き方や戦慄の殺害シーンだけではなく、主人公の殺人鬼を演じたアーウィン・レダーの演技力にも嫌悪感を感じさせられます。

鈴木友哉

彼は殺人鬼の狂気を身体を張って、体当たりで表現してくれています。
『アングスト/不安』

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

作品の全体のうち、半分以上が占める残虐描写に目を覆いたくなる気持ちも生まれるでしょう。

それと同時に主役の怪演に身も心も魅了されるに違いありません。

『アングスト/不安』

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

鈴木友哉

アーウィン・レダーの役者としてのパフォーマンスが、この作品をより魅力的にしています。

鮮烈な生々しい殺害描写で上映禁止になった実録犯罪映画

本作『アングスト/不安』と同様に、世の中には何らかの事情で上映禁止になった作品が、数多く存在しています。

その要因には、政治的背景、宗教的背景、ポルノ要素が含まれる猥褻な内容などがあります。

鈴木友哉

この作品が上映禁止になってしまった理由は、まさに殺害場面の生々しさでしょう。

何度も言いますが、物語の半分以上が殺害現場のシーンで占められており、観る者に不快な感情を与えるのは疑う余地はありません。

家族を順々に殺していく様には、筆舌しがたい薄気味悪さを覚えます。

『アングスト/不安』

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

高齢女性の首を締める場面では上手くいかず、何度も絞殺しようとしては失敗する姿を描いています。

鈴木友哉

首を締めるだけでは、簡単に殺せないことを示している大切な場面です。

車イスを使う息子は、風呂場で無理矢理溺死させられ、が息苦しさを覚えます。

最も壮絶な方法で殺されるのは娘です。

『アングスト/不安』

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

彼女は最後まで生かされますが、逃げ切れずに殺人犯の毒牙によって命を落としてしまいます。

犯人は、女性の身体に何度もナイフを突き刺し、流れ出る鮮血を啜りながら、死姦までをも平気でしてしまいます。

鈴木友哉

この作品が37年間も陽の目を見なかったのは、殺人シーンあまりのリアルさが原因だったに違いありません。

凶悪犯を生み出さないためには

37年と言う時を経て、本作『アングスト/不安』は、なぜ2020年に公開されたのか?

鈴木友哉

制作から40年と言う区切りの年でなく、なぜこのタイミングに公開されたのか、本作を配給した株式会社アンプラグドという配給会社にお聞きしました。

返信してくださった担当者からはたまたま作品を公開できる準備が整ったのが“今”だったからという答えをいただきました。

過去には上映禁止にもなっており、時代に対して早すぎる作品だったのでしょう。

そしてそのパワーは30年以上経っても衰えておらず話題を呼んでいます。

過去に物議を醸した作品が今の時代に脚光を浴びることは意義があります。

偶然か必然か2019年の日本では、川崎登戸カリタス20人殺傷事件と京アニ放火テロ事件という2つの凶悪事件が発生したことも記憶に新しいです。

犯人を擁護するつもりは毛頭ありませんが、ただ本作が取り上げた殺人鬼Kと同様に彼らもまた複雑な家庭環境の中で育ち、孤独と隣り合わせでした。

『アングスト/不安』

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

狂気の凶悪事件を生み出さない社会を作るには、孤独な人間を作ってはいけないということを『アングスト/不安』は教えてくれています。

鈴木友哉

本作は、狂人と化した青年の姿をつぶさに捉えた実録映画であるということは強調しておきたいです。

『アングスト/不安』あらすじ・ネタバレ感想:まとめ

以上、『アングスト/不安』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • 怪優アーウィン・レダーの存在感
  • 現実味のある殺害描写が、長い間封印されてきた要因です
  • 孤独な人間を生み出さないため、社会はどうあるべきか、私たちは何をすべきか