『アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場』は、見世物小屋を舞台にしたライアン・マーフィー制作総指揮のホラー作品第4弾。
時代や設定を変えて、第1シーズンから続投をする役者と新規メンバー、配役に意外性を加えて作品を世に送り出すライアン・マーフィーの『アメリカン・ホラー・ストーリー』シリーズ。
過去3作『呪いの館』『精神病棟』『魔女の館』は、人間の深層心理に訴えかけるホラーでした。
4作目となる『怪奇劇場』もご多分にもれず戦慄走る内容となっており、ジェシカ・ラング、キャシー・ベイツ、アンジェラ・バセットと大物俳優たちが迫力たっぷりに、さらなる恐怖と狂気へと誘ってくれます。
『アメリカン・ホラー・ストーリー』シリーズで定番の、残酷でサディスティックスな世界が、この『怪奇劇場』ではどう表現されるか?タブーはなし!野心的な『アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場』から目が離せません。
・殺人ピエロとサイコパスの富豪
・ペテン師の悪行
・驚愕しかない『怪奇劇場』
それでは『アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場』をネタバレなしでレビューします。
目次
『アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場』あらすじ・感想
エルサの見世物小屋
時は1952年、フロリダ州ジュピター。
客の入りが少なく興行が傾く見世物小屋の起死回生を狙うエルサ(ジェシカ・ラング)がつれてきたのは、頭がふたつで身体がひとつの結合双生児のベットとドット (サラ・ポールソン)。
自分の変わった部分をさらけだし、観衆に笑いと恐怖を与えるエルサの劇場では、あごヒゲの生えた女性エセル(キャシー・ベイツ)、ロブスター・ボーイのジミー(エヴァン・ピーターズ)、三つの乳房をもつデジレ(アンジェラ・バセット)、アザラシ男のポール(マットフレイザー)と個性はさまざま。
エルサの怪奇劇場「フリーク・ショー」は、人と違った容姿のせいで差別や偏見を受け、行き場を失った「フリーク」たちの唯一の生きる場所なのです。
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殺人ピエロ
ベットとドットが、怪奇劇場のメンバーとなった同じころに、ジュピターでは連続殺人が起こるようになります。
謎の殺人ピエロ(ジョン・キャロル・リンチ)が、住人を恐怖に陥れる中、フリークたちにいわれない疑惑の目が向けられるのでした。
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お金持ちのお坊ちゃまダンディの狂気
結合双生児のベットとドットに興味をもってフリーク・ショーにやってきたのが、ジュピターの名家で富豪のグロリア(フランシス・コンロイ)とダンディ(フィン・ウィットロック)親子。
グロリアは、子供の頃から情緒不安定で一度キレると病的で手がつけられない息子のダンディを持て余しており、息子を恐れています。
人と少し変わっていると自覚のあるダンディは、怪奇劇場でみたフリークたちに、親近感を持ち、自分も同じフリークだと感動するものの、フリークたちはただのワガママのお坊ちゃまと相手にしません。
そしてダンディがベットとドットを気に入り、買い取りたいとさえ言い出す始末。
ダンディのとんでもない提案を収めたエルサでしたが、ダンディの双子たちへの執着はここから始まるのでした。
ある日、殺人ピエロの犯罪現場を偶然に知ったダンディ。
ピエロの犯を恐れるどころか、興味津々、協力をするようになります。そしてピエロに感化され、ダンディは残忍な殺人衝動を解放、サイコパスの本性を現したのでした。
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嫉妬深く自分勝手なエルサ
怪奇劇場でベットとドットが注目され、自分よりも脚光を浴びるのが面白くないエルサ。
孤児院や病院、刑務所で影の存在のフリークたちを探しだし、庇護することで献身と忠誠を求め、常に自分中心なエルサは、欲望なためならどんなこともする自分勝手な女性。
ヨーロッパでかつて華やかな舞台に立っていたエルサは、凄惨な事件を経て、すっかり落ちぶれてしまっても、いつかまたスポットライトに立ちたいと夢想していたのでした。
フリークたちを狙うペテン師たち
ジミーが殺人ピエロにさらわれた子供たちを救ったことで町に人から受け入れられるようになった怪奇劇場のメンバーたち。
その頃にやってきたのは、詐欺師のスタンレー(デニス・オヘア)。
アメリカ疾病博物館に展示する標本になる人体が高く売れると、特異な姿のフリークたちを狙い、芸能プロデューサーと身分を偽り、ハリウッドをエサにエルサに取り入ります。スタンレーの仲間のマギー(エマ・ロバーツ)も占い師としてもぐりこんで怪しい流れになっていきます。
錯綜する恐ろしい事態
結合双生児のベットとドットを疎ましく思いダンティに売りつけたエルサ、残虐行為の衝動が抑えられず殺人を続けるダンディ、詐欺師のスタンレーとマギー、それぞれの思惑が交差する中、フリークたちがまたひとり、またひとりと殺されていく事態になります。
エルサに不信感を持ち始めたフリークたちの運命はいかに?エルサの心に平穏は訪れるのか?
最後のショーとはいったいなんのか?予想すらしない展開で怪奇劇場は、クライマックスを迎えるのでした。
『アメリカン・ホラー・ストーリー::怪奇劇場』あらすじ・感想まとめ
以上、ここまで『アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場』をレビューしてきました。
・狂気があるのはむしろ「怪奇劇場」のそと
・どこまでも過激で恐ろしいエピソードの数々
過激さを増すシリーズ4作目
『アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場』は、『アメリカン・ホラー・ストーリー』の4作目にあたるシリーズ。
恐ろしくてグロテスク、心にざわめきを与える世界観は、過激さを増し、冒頭からミステリアスです。
物語の舞台となる見世物小屋より、外の世界にいる人間たちの狂気の方がはるかにが恐ろしい『アメリカン・ホラー・ストーリー』のすごいところは、主要キャストであっても、決して安心できないこと。ストーリーの序盤、中盤、関係なく、オカルト、スプラッター、なんでもござれと、キャストがじゃんじゃん絶命していく潔さ。
お気に入りの登場人物の死にショックを受けている暇なく、怒濤の勢いの物語を追わざるを得ない不思議な力を持っています。
あっと驚く展開
『アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場』が、前3作と違うのは、一見無関係なエピソードが並行して語られること。それぞれのエピソードが、いつどこで交差していくのかわからないまま、物語が進むので前半は若干イライラがつのります。
じりじりとエピソードに関係性をもたせて、ヘアピンカーブのようなかじきりでクライマックスへと向かうのです。
『怪奇劇場』では、4シーズンそれぞれに違う役で出演してきたジェシカ・ラング、サラ・ポールソン、エヴァン・ピーターズは、歌う場面まで飛び出し、楽しさも満載。
いつものサラ・ポールソンのあとひく恐怖に震える恐怖の叫び声は封印、サラの頭がふたつで身体がひとつの結合双生児役にあっと驚かせます。
そしてシーズン2の『精神病棟』で人気キャラクターへと成長したペッパー(ナオミ・グロスマン)も登場。
『怪奇劇場』から、シーズン2の『精神病棟』へとクロスオーバーさせるうまいしかけもほどこして時代の流れを表現、細かい芸でファン・サービスも忘れていません。
刺激的なホラーなだけに心は強くもつべし
『アメリカン・ホラー・ストーリー』シリーズは、物語のテンポが早く、ショッキングな変化球を投げ入れては、次に続く謎かけをファンに与えるのが魅力。
人がバンバン死んで死体の山、血はぼたぼた流れてグロテスク、気が滅入るシーンも山ほど出てくるのに、最後はどうなるの?と好奇心が勝ってしまうのです。
正直、心の弱っている人や血が苦手な人にお勧めはしませんが、怖いもの見たさを満たしたいがために、最後までみてしまうそんなホラー作品です。
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