『今日から俺は!!』の福田雄一監督が描く、ドタバタ・コメディ!
ウソなのか…本当なのか…意味のないセリフが気になって仕方がなくハマる。
テキトーそうで適当じゃない!これぞまさに福田イズムです。
- 軽妙なセリフ回しはまさに落語の語り口調、ふざけているようで落語へのリスペクトが感じられる
- どこまでが台本でどこまでがアドリブなのかわからない絶妙な展開
- おやじギャグの雨嵐、クスクス笑いながら楽しめる作品
- ラスト10分、サクッと見事な伏線回収、舌を巻く結末が見逃せない!
それではさっそく『明烏』のレビューをしていきたいと思います。
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目次
『明烏』作品情報
作品名 | 明烏 |
公開日 | 2015年5月16日 |
上映時間 | 106分 |
監督 | 福田雄一 |
脚本 | 福田雄一 |
出演者 | 菅田将暉 城田優 若葉竜也 吉岡里帆 柿澤勇人 松下優也 新井浩文 ムロツヨシ 佐藤二朗 |
音楽 | 瀬川英史 |
『明烏』あらすじ・感想【ネタバレなし】
古典落語「芝浜」がベースなので笑えないはずがナイ!
『明烏』は人気で何度も再演した福田雄一の戯曲、それを映画化した作品です。
映画の脚本も監督も、「シチュエーション・コメディーの奇才」福田監督、面白くないわけがない!
『明烏 あけがらす』は、古典落語「芝浜」が物語のベース。
山手線の新駅名候補にもなった「芝浜」、一度は耳にしたこともあるのではないでしょうか。
落語の中では特に人気のある噺です。粋な江戸っ子にも愛された伝統のあるお話、それを基に福田節さく裂の笑えるストーリーがテンポよく展開されていきますよ。
しょっぱなから「明烏」存続の危機で大ピンチ!!
江戸時代、東海道で第一の宿場として栄えていた北品川にあるホストクラブ「明烏」。
開始早々、No.1ホスト・ヒロ(松下優也)が、新宿のホストクラブへ引き抜かれます。
明烏の店長・アキラ(ムロツヨシ)は言葉巧みに説得しようとするも撃沈。ヒロは店を去ってしまいました。
残った在籍ホストは、アオイ(城田優)、ノリオ(若葉竜也)、ナオキ(菅田将暉)の3人。
頼りないポンコツホストたちだけ…「明烏」は経営を立て直すために新オーナーを迎えることになってしまいます。
細々と経営している「明烏」はどうなってしまうのか!!
出だしからにムロツヨシさんは反則ですよね。もう~店長アキラのクドい演技にププッと吹き出し笑いが止まらない。
アキラが、目の二重を強調するときに必ず入る効果音「シャキーン!!」がクセになります。
演出が細かい…福田監督らしくて最高です!
No.3になったけど、ビリケツホストのナオキ(菅田将暉)
ホストが3人しかいない「明烏」でNo.3。
つまり、一番売れていないホストがナオキです。
NO.1ホストが引き抜かれたなんて、本来ナオキは気にしていられない状況にありました。
なんと借金1000万円を今日中に返済しなければ…東京湾に連れて行かれてしまう予定。
しかし昨日、違法賭博にて1,000万円ゲット!
返済の目処はつき、浮かれているナオキ。景気よく祝杯をあげることにします。
黄色のダブルのスーツに黒いシャツ…この人売れてないな~と一目でわかる出で立ち。
福田監督がワザとそうしているのか、福田作品に出演するイケメンは必ずと言っていいほど変な恰好をさせられます。毎回楽しみでなりません。
ナオキの衣装や髪型も秀逸で、存在自体で笑わせてきます。
祝杯をあげて寝てしまったナオキ…彼が起きてみると夕方6時。なんと目覚めたらお金が無くなっています!
アキラや後輩ホストに聞いても「1,000万円なんて知らない」と言います。
夢だったのか…確かにあったはずなのに…ナオキは焦ります。
タイムリミットは明日の朝6時。
あと12時間で1,000万。ナオキはどうするのか!!
12時間で1,000万円!!
奇跡でも起きない限り不可能な額ですよね…でも東京湾は待ったなし!
リミットは刻々と迫ってきています。
スリルとコミカルが混在するストーリー展開に釘づけになってしまいますよ。
田舎者・明子(吉岡里帆)
青森から来て「明烏」の料金が払えず、居残りさせられている明子(吉岡里帆)。
人生を諦めてしまったナオキと、一時は心中しようとまでするこの女。
短すぎの前髪がダサ可愛い明子はキーパーソン、物語に深く関わってきます。
ホントに吉岡さんなのか、というレベルに気がづかないほどのおかっぱ前髪で斬新。
どこで買ったのか気になるファッション…特にニットが謎すぎる服装です。
「デコ広ブス!」と言われちゃった場面は笑ってしまいましたが…容姿に惑わされることなかれ。
実は明子、ラストでどんでん返しを起こします!
マジなのか!添い寝1,000万円、破格のオファー
突如舞い込んだアオイ(城田優)へのマダムからの添い寝依頼。
添い寝が「添い寝」で終わった試しがないとアオイは、あらゆる言い訳を使ってそのお客さんのおばちゃんに添い寝を諦めさせようとします。
アオイ「面会謝絶でCIAに入っていると言ってくれー」
…聞き流しそうになりましたが正しくは「ICU」w
断りのウソに、チョモランマが出てきたり、24時間テレビのマラソンが出てきたり…言葉のチョイスが絶妙な福田ワールド全開。
アオイに「頼むから添い寝してくれーー」と懇願する必死のナオキ。
アオイには断られましたが、意外すぎる人が「添い寝」を完遂します!
その角度から来るかーという結末が。
ナオキ父は佐藤二朗!
息子を心配して博多から父(佐藤二朗)がお店へやってきます。
『北の国から』の田中邦衛さんの格好で、モノマネしながら…またもや強烈な個性の登場!
出だしから小ボケを大量放出します。この父、タダモノではありません。
福田作品といえばこの人!という、佐藤二朗さん。
出てきただけで場の雰囲気を全部持っていきます。何がオモシロイのか麻痺してしまう程、クスクスが止まりません。
父の登場でより濃いストーリーになっていくのです。
父の行動が波乱の展開を巻き起こします。
果たして父はナオキの危機を救うことができるのか。
新オーナーはまさかのアノ人!
ラスト10分、真実が明るみになります。
すべては、壮大な駄目ホスト・ナオキの改善計画だった!
気になる新オーナーは本編で…ぜひ確認してみてくださいね。
店長アキラの言葉で、「明烏」の本当の意味が分かります。
「朝まで疲れ果てるまで働いて、北品川の商店街を帰っていくお前らの後ろ姿はホント…ゴミ袋こじ開けて残飯アサってるカラスみてぇにみすぼらしいよ。だけど、お前らが全力で接待した女たちはみんなちゃんと元気になって帰っていく。だから、俺はお前らの後ろ姿が大好きだ~誇らしく思う!」
場末のホストクラブ最高!と叫んでしまいたくなるような気持ちになりました。
最後の最後に感動させてくるあたりが、演出ニクいですよね。
再出発の祝杯を飲まないナオキ…ナオキの「また夢になるといけねぇ!」が聞けたとき、すべての謎は解けてスッキリします!と同時に、もう一度初めから見直したくなるんです。痛快で爽快な結末に満足感半端ない。
ただ面白いだけじゃなくて、「人間、死ぬ気になれば何でもできる」というストレートな教訓がガツンと響きます。
明日の生きる活力に、ほんのちょっと足しになるようなイイ作品ですよ。
『明烏』まとめ
「明烏」複数の落語ベースの本作。題名の「明烏」は生真面目な息子の、真面目さが極端すぎて、、、というお噺。演じるのは #若葉竜也 。 #福田雄一 と #ムロツヨシ が厚く信頼し、現場で #新井浩文 が笑いを堪え続けた一幕をぜひ!! pic.twitter.com/V14rJedpH3
— 「明烏 あけがらす」(5/16公開) (@akegarasumovie) 2015年6月2日
以上、ここまで映画『明烏』の感想を述べさせていただきました。
- 菅田将暉の「もふもふアフロヘア」、ダメダメホストっぷりは必見!
- よく見たらかなりのイケメンパラダイス、こんな店あったら行ってみたくなるかも…
- 2回観るのがおすすめ!「なるほど~!」と何気ない芝居の意味が分かって二度美味しい
- 小道具の取り入れ方がオモシロイ…安部首相マスクに笑う
- 駄目ホスト改革、最後に改心させたのは仲間の愛
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