古本屋の落ち着いた雰囲気が好きで、恋愛映画が好きで、猫が好き。そのどれにもあてはまらない私が観ても、ラストシーンにしっかり癒されるラブコメディです。
・瀬戸康史の “初ベッドシーン” が話題
・たまにカンタ(猫)が通りすぎる
それでは『愛なのに』をネタバレなし・ありでレビューします。
目次
『愛なのに』あらすじ【ネタバレなし】
古本屋の店主・多田浩司(瀬戸康史)には、一途に求婚してくる常連客がいます。
女子高生の岬(河合優実)です。でも、多田には忘れられない女性がいるので相手にはしません。
多田がずっと想い続けているのは、昔のバイト仲間である一花(さとうほなみ)。
彼女は亮介(中島歩)と婚約中で結婚式の準備に追われていますが、亮介とウェディングプランナーの美樹(向里祐香)が男女の関係になっていることを知らずにいます。
『愛なのに』を楽しむ【ネタバレなし】
L/R15とは?
城定秀夫監督 ✖ 今泉力哉監督
お互いの脚本を提供し合い、R15+ のラブストーリーを2本制作するというコラボレーション企画です。
『愛なのに』は今泉力哉のオリジナル脚本を使用して、城定秀夫が監督を務めます。
城定秀夫監督は、最初の脚本を読んだときに「凄く今泉さんっぽい」と思ったそうです。長い会話が多く、普通100ぐらいあるシーンが脚本上では30シーンぐらいしかない。どう自分のものにしていけばいいのか苦労したと語っています。
ひとつの作品にいくつのシーンがあるかなんて、考えたこともなかったです。
『愛なのに』のパンフレットには、アンケートインタビューの他にシナリオが掲載されています。映画を観てから、自宅でゆっくり読みましょう。
ロケ地情報① 古書 上々堂
多田が営む古本屋があるのは、東京都三鷹市。
●JR三鷹駅南口から歩いて10分
●「三鷹の森ジブリ美術館」から歩いて15分
映画でも、店名は同じ「上々堂」でしたね。“しゃんしゃんどう” と読みます。
瀬戸康史はインタビューで、古本について「今まで持っていた方の色んな思い出を紙が吸っていそうな気がする」と話しています。
古本に限らず、中古品に抵抗がある人は多いですよね。
リリー・フランキーが『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』を出版したときの話を思い出しました。雑に扱ってほしくないから、あえて紙を白地にして脂がつきやすいデリケートなものにしたそうです。
確かに、古本はいろいろな思い出を紙が吸っているような気がします。
ロケ地情報② WATER HOTEL Cy
『愛なのに』では、水槽に囲まれたベッドが出てきます。特徴あるきれいな部屋だったので、気になっていました。
場所は、東京都町田市にある「WATER HOTEL Cy」というラブホテル。撮影に使用されたのは「21:エグゼグティブスウィート」という部屋のようです。
個人的には、なぜかロッジ風の「34:スーペリアルーム」に魅力を感じます。
ラブホテルが出てくる映画はたくさんありますが、私は『浅草キッド』(劇団ひとり監督)の1シーンが忘れられません。回転ベッドのスイッチを押して「まぁ、せっかくだから」と言う土屋伸之は、本当にいい表情してるなと思いました。
『愛なのに』感想【ネタバレあり】
河合優実
多田が本を読んでいる隣でお弁当を食べる岬は、「学校に行きなさいよ」というツッコミを忘れるほどに可愛いです。
多田にラブレターを書き続けるメンタルの強さは、“無敵の16歳” だからですよね。あの夫婦茶碗を一緒に使う未来であってほしいと、心から願います。
河合優実は作品ごとに印象が変わるので、出演者の名前を見て驚くことが少なくありません。
これからの活躍はもちろん楽しみですが、過去の出演作品もしっかりチェックしようと思います。
花束を渡す正雄くん
岬のことが大好きな、同級生の正雄(丈太郎)。くるくるの髪とむちっとしたスタイルが魅力的ですが、なんといっても言動が可愛いです。
学校の裏に岬を呼び出して、花束を手に告白します。フラれたあと、花束を地面に叩きつけて終わるのかと思ったら違いました。イライラしながら花を1本ずつフェンス沿いに突き刺して、包んでいたフィルムをきちんと拾ってから岬を追いかけます。
「命を粗末にしてはいけない」という、おばあちゃんか誰かの教えを守っているのでしょうか。緊張した顔で花屋に入っていくところから、勝手に想像してしまいました。
ハンカチを奪う正雄くん
映画『愛なのに』のなかで、正雄が多田を殴ってしまうシーンが一番好きです。
鼻血を出した多田に、岬は自分のハンカチを渡します。『洗って返すね』と親しげに話す二人に嫉妬した正雄は、『俺が洗うよ!』とハンカチを奪って公園へ。
もう “愛すべきおバカさん” ですね。水道でバシャバシャ洗ったハンカチは、どうなったのでしょうか。お母さんにお願いしてアイロンをかけてもらったとしても、きっと岬は受け取らないんだろうな…私の妄想はとまりません。
“ヒロインを好きになる同級生” といえば、『さがす』(片山慎三監督)が印象に残っています。楓(伊東蒼)のことが大好きで、一緒に父親をさがす豊(石井正太朗)です。豊の『おっぱい見せて』のシーンも好きですが、おバカ同級生ランキング第1位は正雄くん以外に考えられなくなりました。
初めてのベッドシーン
“瀬戸康史、初めてのベッドシーン” と話題になっていましたね。どのインタビュー記事を読んでも「撮影前に、城定秀夫監督と助監督がお手本を見せてくれた」と同じことが書いてありました。
最初のラブホテルでのシーンは気にならなかったのですが、一花が多田の部屋に来たときの二人の盛り上がり方は異常じゃないですか?それだけ相性が良いということだと思うのですが、あまりにも激しかったので驚きました。
そして、ベッドで横になって話をしているシーンがとても辛かったです。二人の頭の向きが観ている私たちとは逆なので、なんだか頭に血がのぼるような感覚になりました。予告編にもあるシーンですが、会話の内容はほとんど覚えていません。
『下手ですね』
亮介は、浮気相手であるウェディングプランナーの美樹に『今日で最後にしたい』と別れを切り出します。意外にもあっさり受け入れられてしまい戸惑う亮介に対して、淡々と状況を整理していく美樹の姿がかっこいいです。
『話すと面白いし、いろんなこと知ってるけど…下手ですよね』
亮介がどれだけダメなのかも気になりますが、どうして美樹はそんな男と関係を続けていたのでしょうか。二人合わせて10回くらい、“下手” という言葉を使っていたような気がします。会話が進むにつれて、そーっと引きの画になっていくのが面白いです。
私は公開初日のレイトショーで観たのですが、お疲れな様子で映画館にやってきた中年男性もクスクス笑っていました。
『愛なのに』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
・万引きは犯罪です
・“下手” について考えてみよう
しましろ