映画『アド・アストラ』あらすじ・ネタバレ感想!宇宙への旅を通じてブラピが魅せる最高峰の演技は必見

映画『アド・アストラ』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『アド・アストラ』公式ページ

ブラッド・ピットの熱演が光るSFアクションと思いきや、人間の孤独、本質を描いたヒューマンドラマ。

ポイント
  • 124分、出ずっぱり。「スター」ブラピではなく「役者」ブラッド・ピットの、最高峰の演技は必見。
  • 予告を観た時点では思いもよらない「文系的」なSF映画です。
  • 父を訪ねて43億キロ。月から海王星までの旅路の映像美が素晴らしいです。

それではさっそく映画『アド・アストラ』のあらすじと感想をネタバレありでご紹介いたします。

映画『アド・アストラ』作品情報

映画『アド・アストラ』作品情報

出典:映画.com

作品名 アド・アストラ
公開日 2019年9月20日
上映時間 124分
監督 ジェームズ・グレイ
脚本 ジェームズ・グレイ
イーサン・グロス
出演者 ブラッド・ピット
トミー・リー・ジョーンズ
ルース・ネッガ
リヴ・タイラー
ドナルド・サザーランド
音楽 マックス・リヒター

映画『アド・アストラ』あらすじ


地球外知的生命体探求に尽力した父(トミー・リー・ジョーンズ)の背中を見て育ったロイ・マクブライド(ブラッド・ピット)は、父と同じ宇宙飛行士の道に進むが、尊敬する父は地球外生命体の探索船に乗り込んだ16年後に消息を絶つ。

あるとき、父は生きていると告げられ、父が太陽系を滅亡させる力がある実験“リマ計画”に関係していたことも知る。
出典:シネマトゥデイ

映画『アド・アストラ』みどころ

映画『アド・アストラ』みどころ

ブラッド・ピットとトミー・リー・ジョーンズが共演したスペースアドベンチャー。

地球外知的生命体を探求する父親に憧れて宇宙飛行士になった息子が、父の謎を探る。

『エヴァの告白』などのジェームズ・グレイが監督を務め、『ラビング 愛という名前のふたり』などのルース・ネッガをはじめ、リヴ・タイラー、ドナルド・サザーランドらが出演。
出典:シネマトゥデイ

映画『アド・アストラ』を視聴できる動画配信サービス

『アド・アストラ』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。

なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。

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注意点
  • 動画の配信情報は2019年10月6日時点のモノです。
  • 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。

ご覧のとおり、2019年10月6日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。

動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。

【ネタバレあり】映画『アド・アストラ』感想レビュー

良い意味で予想を裏切られる、そんなSF映画です。

ラテン語で「星へ」「星の彼方へ」という意味でもあるタイトルを持つ『アド・アストラ』。

予告を観た時点では、ブラッド・ピット演じる主人公が、宇宙探査に出てそのまま死んだとされていた偉大な宇宙飛行士の父親が生きていたと知り、父親を探す旅に出る物語だと思っていました。

仕事ばかりで妻にも愛想をつかされ、それでも宇宙への憧れや渇望は捨てられず、ありとあらゆる困難に見舞われながらも、宇宙を旅する主人公。

やがて父親(もしくは死んだ父からのメッセージ)を見つけ、地球に帰還。もちろん妻との絆も取り戻し、めでたしめでたし。こんなよくあるSF映画の王道+感動ストーリーを想像していたのです。

しかし『アド・アストラ』は、大筋は予想していた物語であるものの、明らかに趣の違うまさかの文学的なSFだったのです。

小難しい宇宙理論が出てくるわけでもなく。いわゆる「SFオタク」の方たちが満足できる描写でもなく。

映像はとても美しいのですが(何とデジタルではなく、フィルム撮影なんです)、これまた美しい音楽と相まって、正直睡眠不足で観ると睡魔に襲われる人もいそうな、ある意味大変高尚な作品に仕上がっています。

主人公が父親を探し海王星まで旅するのは間違いないんですが、宇宙人との遭遇や戦闘といった命を懸けた極限のサバイバルなど、エンターテイメント性やアクションを想像して観ると、思っていたのと違うなと首を傾げたくなってしまうはず。

言わば『アド・アストラ』は、スケールがとてつもなく壮大なロードムービー。主人公のロイが自分を見つめ直す長い長い旅をするヒューマンドラマなんです。

大作SFでは思い切った作風だと思いますが、ハマる人にはハマる。そんな不思議な魅力を持っているのが『アド・アストラ』です。

サイエンス・フィクションというより、サイエンス・ファンタジーな物語です。

『アド・アストラ』は「近未来」の物語です。

正確にどれくらい未来の話なのかは、明らかにされていません。鑑賞者の想像に委ねられています。

ブラッド・ピット演じる主人公のロイ・マクブライドは、優秀な宇宙飛行士。

宇宙探査に人生を捧げ、海王星を目指したまま生死不明になった父・クリフォードと同じ道を歩んでいます。

職務中の生死に関わるアクシデントや、妻が家を出て行った時も心拍数が乱れたことのないロイ。表情も乏しく、あまり幸福であるようには見えません。

ある日、ロイは父が生きているかもと知らされ極秘ミッションを命じられます。火星に向かい、父とコンタクトを取るように、と。

実はクリフォードたちが乗っていた宇宙船が原因だと思われる「サージ」という現象が起きていて、このままだと人類滅亡の危機だと言うのです。

火星に向かうまでも、着いてからも、思わぬアクシデントに襲われつつ、ロイは父親に再会するため海王星への長い長い旅に、たった一人で出発します。広大な宇宙での孤独な旅の間、ロイは幾度となく妻・イブや子供の頃の思い出を反芻します。そうしてやっと探し当てた父親との再会、永遠の別れを経て、ロイは地球へと帰還します。

ロイは圧倒的な孤独の中を旅したことや父親との再会で、どれだけテクノロジーが進歩しても人は一人では生きていけないこと、人を愛すること、心を開くことの大切さを知ります。

ロイが変化していく様子は、ブラッド・ピットの抑制された演技、特に美しいブルーアイズの演技で充分伝わってくるので、妻・イヴと会話はなくても再会するラストは納得。自分は父親のようにならないと、ロイが思うのもよくわかります。

しかし、ロイは「あんなこと」をしてお咎めなしなんだろうか、と。そこがどうしても気になりまして。

結果父親と同じで、仲間を殺しちゃっています。わざとでは決してないんですが。地球を救ったから不問になったのか。命令違反もしているけれど、そこはどうなったのか。

ついエンドロールで、そんなことを考えてしまう人もそこそこいるのではと邪推してしまいます(苦笑)

リアルを追求したと聞いていたので、サルに襲われてあっさり傷付くヘルメットの耐久性や、クリフォードの食料はどうしていたのか、と細かいところを気にし出すと止まらなくなるのです。

物語的には、海王星まで3ヶ月かからないなら、なぜ今までクリフォードたちを探さなかったのかというのが、一番の謎なんですけど(笑)

そんなわけで『アド・アストラ』は「サイエンス・フィクション」というよりは「サイエンス・ファンタジー」だと言いたいです。そして何より「哲学的」なヒューマンドラマだと。偉大な父親を越えていく息子の物語であり、人類の普遍のテーマに触れる物語だと。

だから、細かいところは気にしては駄目ですよ?宇宙が舞台なだけなんです、これはヒューマンドラマがメインなのです。

主演がブラッド・ピットだからこそ、成立する映画だと断言します。

2019年の日本の夏は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に次いで『アド・アストラ』も公開され、ブラッド・ピットも来日してくれた、まさにブラピサマーだったわけですが。

どちらの作品にも通じて言えるのは、ブラッド・ピットの存在感は半端ないな、ということです。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のブラッド・ピットが演じたクリフ・ブースはとにかく格好良かった。内に秘められた狂気が時折にじみ出る、惚れ惚れするほどいい男でした。台詞がなくてもスクリーンに映っているだけで、つい目が奪われてしまうような、そんな存在。

共演が同じように、存在感ありすぎレオナルド・ディカプリオだったので、ブラッド・ピットが一人目立ちまくることはありませんでしたが。

対して『アド・アストラ』のブラッド・ピット。最初から最後まで、出ずっぱりです。しかも台詞がものすごく多いわけでもなく。衣装もころころ変わらない。ヘルメットをかぶっている時間もとても長い。

それでも、最後まで目が離せないんですよ。静かな演技でここまで魅せてくれたブラッド・ピット。批評家が絶賛するのもよくわかります。

月から見た地球のことを、ドナルド・サザーランド演じるプルーイットが「ブルー・マーブル」と言うシーンがあるんですが、いやいや、まさにブラッド・ピットのブルーアイズこそ、奇跡のブルー・マーブルじゃないかと思うほど、雄弁な瞳。良い役者だなあと、しみじみしちゃいます。

ちなみに、ザ・ブルー・マーブルとはアポロ17号の乗組員によって撮影された有名な地球の写真のこと。誰もが一度は目にしたことがあるはずの「青いビー玉」のことです。

共演リヴ・タイラー、ドナルド・サザーランドについては「出番これだけ?え?」と、その贅沢な使い方にびっくりしました。

特にリヴ・タイラー。出演シーンがトータルでも短すぎです。美しさはそれでもよくわかりますが、いやしかし。ここまでチョイ役とは思いもしませんでした。ドナルド・サザーランドは、ある程度納得なんですが、それでももう少し物語に大きく関わると期待していたんですがね。

そしてブラッド・ピットの父親という、重要人物であるクリフォードを演じたのはトミー・リー・ジョーンズ。ロイが見せられた画質の良くない映像の中ですら、目を奪われてしまいます。

偉大な宇宙飛行士でありながら、地球を滅ぼしかねない「何か」に関わっていると疑われるクリフォード。家族を捨て、仲間すら切り捨てても、得たものはなく。長い孤独の中を生きてきたクリフォードの狂気に静かに蝕まれていた姿にはゾッとすると同時に胸をえぐるような憐みを感じられます。

日本では十数年「BOSS」のCMですっかりおなじみ、愛され続けているトミー・リー・ジョーンズ。ハリソン・フォード主演の『逃亡者』から覚えていますが、年を重ねるごとになお演技に深みが増していますよね。トミー・リー・ジョーンズの演技を観るだけでも、鑑賞料金を払う価値は充分ありますよ。

しかし、トミー・リー・ジョーンズの演技に引き込まれるのも、主演のブラッド・ピットの存在感があってこそ。

この映画の肝は、やっぱり「ブラッド・ピット」にこそ、あるような気もします。

映画『アド・アストラ』まとめ

以上、ここまで映画『アド・アストラ』を紹介させてただきました。

要点まとめ
  • 宇宙空間の映像は、大スクリーンで観るべき美しさです。
  • ブラッド・ピットとトミー・リー・ジョーンズの演技が最高で鳥肌もの。
  • 「宇宙」という壮大な舞台の旅を経て人として大切なものを悟る、まさに文学的なSF映画です。