「アルゴン」は元素記号の名称ですが、タイトルの『アルゴン』とは、その元素記号の成分と同様に「真実が酸化するのを阻止できるように」との意味合いが込められた“本当の真実だけを伝えたい”という一心で報道の世界で戦う番組の名前です。
情報が錯綜しているこの現代で、一体何が真実なのか!?
何が善悪を分けるのか?
「真実」を追い求める報道番組の「ジャーナリスト」をテーマに送る社会派ヒューマンドラマ『アルゴン』をレビューします。
目次
『アルゴン』キャスト
キム・ジュヒョク / 役:キム・ペクジン
- HBC報道局内の人気番組「アルゴン」のチーム長兼キャスター
- 「鬼の記者」と言われているが、実はチーム員の事を本当に考えている優しい人
- 「真実第一」がモットー
チョン・ウヒ / 役:イ・ヨンファ
- 2年前に契約社員として入社
- 夢にまで見た「アルゴン」チームだが、あだ名は傭兵
- ほかのチーム員に負けじと自らの目と足で密かに真実を追い続ける
パク・ウォンサン / 役:シン・チョル
- 「アルゴン」チームの凄腕プロデューサーでペクジンの先輩かつよき理解者
- 「アルゴン」チームのムードメーカー
- チーム内放送作家ヘリとの関係が微妙
イ・スンジュン / 役:ユ・ミョンホ
- HBC放送局報道局長でペクジンの上司
- 出世に興味がないペクジンと対照的で出世ばかり気にする
- 「アルゴン」の対立番組「ニュース9」のチーム長でもある
【ネタバレ】『アルゴン』あらすじ・感想
話数が少なく取っ掛かりやすい社会派ヒューマンドラマ
8話という短いドラマなのですが、内容は濃厚です!
かとリーニョ
情報が錯綜するこの世の中。
報道の世界も政治の世界同様とても事情が厳しく、「真実を説き明らかにする」というジャーナリストとして当然のことをしていても、報道局の中でも評判がよくないとすぐに降板、または時間変更させられてしまいます。
局内でも、別番組では上層部のウケを狙って事実ではない報道をしています。
かとリーニョ
歴の長さは関係なし!「実力主義」のシビアな世界の中で生きる契約社員
「アルゴン」チーム内には、多くの契約社員たちが「いつかは憧れのプロデューサーやキャスターへ…」と、日々ひしめき合っています。
そんな中、突然「アルゴン」チームへ異動してきた2年目の契約社員イ・ヨンファ。
彼女は不当解雇された職員たちの欠員を埋める特別採用枠であることを来たとのことで反感を買い、「アルゴン」チームのメンバーはヨンファを素直に受け入れません。
かとリーニョ
それでもヨンファは憧れの「アルゴン」への異動をチャンスととらえ、張り切って仕事をこなすのですが、彼女への風当たりはものすごく強いです。
ヨンファよりも先に頑張ってきている先輩たちも、取ってきたネタが放送で採用されるまでの苦労がすごいのです。
とある1人はホームレスになり切り、ホームレスの実態を掴むも、別のニュース番組で先に取り上げられてボツになってしまったりと厳しい世界。
ヨンファはそんな中、真実を伝えることにこだわるペクジンを手本とし、怖いもの知らずな姿勢と素直な心で、次第にペクジンにもそしてチームのメンバーにも信頼される人材に成長していきます。
ペクジンの先輩キャスターが担当していた「最後のインタビュー」というコーナーも先輩自らヨンファを推薦します。
かとリーニョ
そんなヨンファを演じるチョン・ウヒは、ペクジンを演じるキム・ジュヒョクと所属事務所が同じで本当の後輩にあたる存在であり『アルゴン』のほかにも映画やドラマで共演しています。
「アルゴン」を守るためにペクジンがとる行動とは?
出世意欲のなかったペクジンですが、やはり「アルゴン」を守っていくには、そして報道局を正しい方向へ導いていくには、上に立つしかないと考えたペクジン。
局の看板番組「ニュース9」のメインキャスタ-だったペクジンの最も尊敬する先輩の引退を機に、ペクジンは先輩から託された意思を貫く決意をします。
そして出世ばかり考えあげくの果てに政界進出を企むペクジンのライバル局長ユ・ミョンホとの全面戦争が始まります。
ミョンホはありとあらゆる手段で、「アルゴン」とペクジンをつぶそうとかかります。
そして「アルゴン」という番組を守るために顧問弁護士のスンミの判断で仲間を見捨てる事態にもなってしまいます。
かとリーニョ
ペクジンは「アルゴン」を本当に守りきれたのか…!?
「ニュース9」の次期キャスター選挙には惜しくも1票差で負けてしまったペクジン。
さらに「アルゴン」を守るため”捨て駒”にされた放送作家のヘリと、それに激怒したシン・プロデューサーは、「アルゴン」をボイコット中。
チーム内も崩壊寸前の中、ペクジンも本当の意味で「アルゴン」を守れたのだろうか?と疑問を抱き、苛立ちを覚え後輩に八つ当たりの毎日。
そんな中でも、シンプロデューサーは「真実を報道したい」と密かに活動を再開し、ある特ダネを掴む手柄を立てます。
かとリーニョ
しかしまたまた事件が勃発し、今度はシン・プロデューサーが窮地に。
真実の情報をくれた提供者の自殺により、「アルゴン」がフェイクニュースを流したという疑惑をかけられてしまいます。
「アルゴン」を辞めていたヘリですが、いても立ってもいられなくなり、戻る決断をすることになります。
そしてチームのリーダーとしてペクジンも、ある決断をすることになります。
ペクジンの過去と繋がる「本当の真実」とは!?
「アルゴン」チームが窮地に陥った事件の背景にあったのはペクジンが過去に真実を追求しきらず、見たい真実だけを見てしまった失敗でした。
その事件にはペクジンの妻が関わっており、彼は愛する妻に都合のいい真実を信じようとしてしまいました。
さらにその事件を告発しに向かった妻が途中で交通事故に遭い亡くなってしまったのです。
チームのみんなには反対されましたが、ペクジンは全てをかけて自分の過去の罪を「真実」として報道する決意をします。
しかしその真実は上からの圧力により報道されず、ペクジンはとある場所で真実を語ることになります。
それはペクジンの妻の命日に開催される授賞式。
この場でペクジンは、自分の過去の誤報道と本当の真実を語ります。
「間違った真実を伝えたなら、正すことも我々の仕事です」
このペクジンの告白が会場の観客また各関係者の心を動かし、過去の事件の再調査が行われペクジンを含む関係者が逮捕されます。
かとリーニョ
『アルゴン』まとめ
韓国tvN2017年9月放送 熱情的なジャーナリスト達の人生を描いたドラマ『アルゴン』 #Netflix 配信開始 キム・ジュヒョク、パク・ウォンサン、イ・スンジュン、シン・ヒョンビンhttps://t.co/OzwFWSiNmL? pic.twitter.com/yPriPzoRcO
— むさ(musA) (@ymusa2) October 27, 2017
熱血記者兼キャスターのキム・ペクジンが、真実を追い続けて20年あまり。
そのうちのたった少しだけ「見たい真実」だけを見てしまったことだけで、大きな事件に発展してしまうというストーリーは真実を追い求めること、そして真実を伝えることが、どれだけ難しいのかを実感させられます。
最後、授賞式でのペクジンの言葉は、報道の世界だけではなく、私たちの日々の生活でも言えることではないでしょうか?
「間違った真実を伝えたなら、正すことも我々の仕事です」
かとリーニョ
余談ですが、ペクジン役のキム・ジュヒョクはすでに不慮の事故でこの世を去っています。
ドラマとしては『アルゴン』が遺作となりました。
ペクジンは授賞式後に「アルゴン」を去り、ジュヒョクはソウルアワード2017授賞式後に突然この世を去りました。
かとリーニョ
今まで非の打ち所がない役柄の多かったキム・ジュヒョクですが、『アルゴン』では理不尽な上司や現実、そして自分自身の過去と戦っていく、とても人間的な役を演じていました。
「アルゴン」を去った後のペクジンが気になるから、終わってしまうのが惜しい!との意見もあったようです。
韓国ドラマ『アルゴン』、ぜひぜひご覧頂きたい作品です。