『暁に祈れ』は、『ミッドサマー』『ムーンライト』などでおなじみの配給会社、A24の配給作品です。
第70回カンヌ国際映画祭でプレミア上映後、2018年のサウス・バイ・サウスウエストで上映され、高い評価を得ました。
- 元ボクサー、ビリー・ムーアの自伝を原作にしたドラマ映画
- ドラッグに溺れた主人公がタイの刑務所に収監される衝撃体験
- 撮影には本物の刑務所、本物の元囚人が起用されている
マルコヤマモト
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目次
『暁に祈れ』作品情報
作品名 | 暁に祈れ |
公開日 | 2018年12月8日 |
上映時間 | 117分 |
監督 | ジャン=ステファーヌ・ソヴェール |
脚本 | ジョナサン・ハーシュビーン ニック・ソルトリーズ |
出演者 | ジョー・コール ヴィタヤ・パンスリンガム パンヤ・イムアンパイ ソムラック・カムシン |
音楽 | ニコラス・ベッカー |
【ネタバレ】『暁に祈れ』あらすじ・解説
『暁に祈れ』は衝撃の実話だった
2017年のカンヌ国際映画祭、ミッドナイトスクリーニング部門の正式出品作品にもなった『暁に祈れ』。
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『暁に祈れ』は、イギリス人ボクサーのビリー・ムーアの自伝『A prayer Before Dawn: My Nightmare in Thailand’s Prisons』を基に制作された映画です。
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主人公でボクサーのビリー・ムーア(ジョー・コール)は、再起をかけてタイへ移住するもののドラッグに溺れた生活を送っていました。
窃盗で逮捕されたムーアは、タイの刑務所に収監されることに。
しかし、その刑務所はタイでも最も悪名高い刑務所で、刑務所内での暴行、レイプ、殺人は当たり前。
さらに、刑務官たちを経由してドラッグを入手することも可能で、ビリーはさらにドラッグに依存するようになります。
そんななか、刑務所内のムエタイチームの活動を偶然見つけたビリーは、チームへの参加を志願。
自分の命と刑務所チームのプライドを掛けて、また、自分の再起をかけて他の刑務所のムエタイチームに挑みますが、瀕死の重傷を負ってしまいます。
病院に運ばれたビリーは逃亡を考えますが、刑期を全うすることを選びました。
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本物の刑務所、本物の元囚人を起用!
ビリーが収監されるタイの刑務所の、あまりのリアルさに驚いた人も多いでしょう。
なぜなら、あの囚人たちは役者さんではなく、本物の元囚人だからです。
『暁に祈れ』では、主要キャスト以外は本物の刑務所、本物の元囚人たちを起用して撮影が行われました。
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さらに、英語を話すビリーに対して囚人たちの話すタイ語には一切字幕が付けられず、言葉の壁があることでビリーの危機感が私たちにも伝わってきます。
刑務所内での犯罪行為も当たり前で、タイの刑務所の現実を突きつけられました。
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世界各国で刑務所を舞台にした映画はたくさんあれど、ここまで刑務所内の様子がリアルに描かれた作品は初めてじゃないでしょうか?
また、ラストでビリーが対決する相手にも、ムエタイの世界チャンピオン、ソムラック・カムシンを起用し、とことんリアルにこだわっています。
クライマックスでは3,000人の囚人エキストラに囲まれて、ビリーが命をかけた闘いを繰り広げます。
それに応えるために、主演のジョー・コールも肉体改造をし、30日間の過酷な撮影に挑戦。
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気鋭の映画会社「A24」の配給作品
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『ミッドサマー』『ムーンライト』『レディ・バード』など、多くの配給作品が話題になり、新型コロナウィルスの際には作品に使用した小道具をチャリティオークションに出したことでも話題に。
映画製作・配給会社A24が小道具のチャリティーオークションを開催!アリ・アスター監督『ミッドサマー』の“メイクイーンドレス”、“熊スーツ”や“止めの木槌”、サフディ兄弟『アンカット・ダイヤモンド』のファービー等が出品 https://t.co/4ngQ4b7Ym6 #HIHOnews pic.twitter.com/57jPYYQesG
— 映画秘宝 (@eigahiho) April 22, 2020
2012年に設立されたまだ若い会社ながらも、配給権を勝ち取った作品がアカデミー賞を受賞するなど数年で大きな成長を遂げました。
映画だけにこだわらず、TVシリーズや配信作品も多く手掛け、これから目が離せないエンタメに関わる企業の1つです。
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【ネタバレ】『暁に祈れ』感想:衝撃だからこそ見入ってしまう
人間ドラマとしても見どころが十分!
映像のリアルさに引き込まれ、私たちはいつのまにかビリーと同じ空間にいるような体験をしていることに驚きました。
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カメラの長回しが多いからこそビリーが置かれた状況をリアルに感じ、衝撃的な映像だからこそ、見てしまいたくなる人間の心理もうまく利用した作品だったと思います。
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タイの地獄刑務所の様子がフィーチャーされがちですが、『暁に祈れ』は人間ドラマとしても非常に見ごたえがある作品です。
絶望的な状況から抜け出すために、ムエタイに挑戦する主人公。
個人的にはこういう作品が大好きなのですが、『暁に祈れ』は、あまりにも絶望的すぎて別の意味で涙が出ました。
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決して美しい物語ではありませんが、ビリーのように地べたでもがく泥臭い姿に、どこか共感できるところはあるはず。
そして、心が死ななければ何度でも起き上がるチャンスは訪れるということも、教えてくれる作品でした。
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SNSでのみんなの感想・評判
タイの地獄みたいな刑務所に入ったイギリス人ボクサーの姿を描く壮絶なドラマ『暁に祈れ』がレンタル、リリースされてますが、これは見応えがあって良いですよ。刑務所内の囚人たちは、本物の元犯罪者(罪状 殺人含む)が演じているので、役作りだけでは出せないマジの迫力があります。 pic.twitter.com/JcpMPKCgtB
— 人間食べ食べカエル (@TABECHAUYO) June 20, 2019
『暁に祈れ』、凄まじい映画だった。白人ボクサーがタイの刑務所に収監されるとそこは囚人同士の麻薬売買や殺人やレイプに刑務官の汚職まで横行する地獄のジャパリパーク。本物の刑務所×本物の囚人を使って撮影されててタイ語の台詞には殆ど字幕がなく主人公と同じ気持ちで観られる。腕っぷしは正義。 pic.twitter.com/h6SJS87DNM
— わぽつ (@KUJINO_JK) July 24, 2019
暁に祈れ
ドラッグで逮捕されたビリーは、言葉も分からないままタイの監獄に入る。
本物の刑務所で元囚人達が台本無しに演技し、長尺の撮影方法によってビリーの絶望と痛みが伝播する。
追い詰められたビリーと共に、祈る事しか出来なかった。
どんな夜も明ける。
暁に祈り、感謝せよ。 pic.twitter.com/y792rYqCtm— ヒロ (@KOKORO21355419) February 24, 2020
マルコヤマモト
誰もが経験したことがある「どん底」という状況があるからこそ、ビリーの状況に共感できるのだと思います。
「コレ以上のどん底はないんだ!」と這い上がる姿ってやっぱり泥臭いけど、胸が熱くなりますよね…。
今までそんな映画を何本か見てきましたが、『暁に祈れ』はその中でも特にリアルで真っ直ぐでした。
マルコヤマモト
『暁に祈れ』まとめ:ドラッグはダメ、ぜったい。
マルコヤマモト
- リアルだからこそ、地味な内容でありながらも知らない間に引き込まれている
- 元囚人たちの台本のないリアルな演技がさらにリアルさを増して、恐怖を掻き立てられる
- ドラッグは絶対にやってはいけない。中高生のドラッグ啓発の教材としても良いのではないか?
マルコヤマモト
ビリーの体験はただただ衝撃でしかないのですが、だからこそ見入ってしまう「リアルさ」がこの映画にはあります。
今作には、私たちが観ておくべき、知っておくべき現実がたくさん描かれていました。
そして、絶望的な現実からどう立ち上がっていくべきか…ということも。
マルコヤマモト
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