2020年ゴールデングローブ賞で、映画部門作品賞ドラマ部門作品賞、監督賞を受賞。
アカデミー賞では10部門でノミネートされ、撮影賞、録音賞、視覚効果賞を受賞した『1917 命をかけた伝令』。
第一次世界大戦を舞台に2人の若きイギリス兵が最前線にいる1,600人の味方の命を救うべく敵陣を駆け抜ける1日を描いた戦争映画です。
長尺ワンカットで全編が撮影されているためまさに「没入体験」ができる驚異の映像。
息をするのも忘れるほどの緊張感と、まるで自分も戦場にいるかのような臨場感が味わえます。
映画『アメリカン・ビューティー』や『007 スカイフォール』のサム・メンデス監督の最新作です。
- 全編ワンカットにしか見えない撮影技術に驚きます。
- 端役が豪華キャストで贅沢すぎます。
- 第一次世界大戦について少し調べておくと映画の背景がわかり、なお楽しめるはず。
それでは驚異のワンカット戦争映画『1917 命をかけた伝令』をネタバレ込みでご紹介します。
▼動画の無料視聴はこちら▼
目次
『1917 命をかけた伝令』作品情報
作品名 | 1917 命をかけた伝令 |
公開日 | 2020年2月14日 |
上映時間 | 119分 |
監督 | サム・メンデス |
脚本 | サム・メンデス クリスティ・ウィルソン=ケアンズ |
出演者 | ジョージ・マッケイ ディーン=チャールズ・チャップマン マーク・ストロング アンドリュー・スコット リチャード・マッデン クレア・デュバーク コリン・ファース ベネディクト・カンバーバッチ |
音楽 | トーマス・ニューマン |
▼さらに詳しいキャスト情報を知りたい方はこちら▼
『1917 命をかけた伝令』あらすじ
1917年4月6日。
第一次世界大戦の只中にあったヨーロッパでその頃、西武戦線にいたドイツ軍は前線から後退する動きを見せていました。
しかしその後退は戦略的なもので、連合軍側をヒンデンブルク線に誘い込むための罠でした。
航空偵察で、ドイツ軍の動きを把握したイギリス軍。
エリンモア将軍(コリン・ファース)は若い将兵2人に、ある命令を下します。
電話線が切られていて情報が伝えられない進撃中のデヴォンシャー連隊の元に行き攻撃中止の命を伝えるように、と。
連隊には将兵トム・ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)の兄も所属していて、もし2人が間に合わなければ壊滅的な打撃を受けることは間違いありません。
トムは友人のウィル・スコフィールド(ジョージ・マッケイ)と共に、決死の覚悟でドイツ軍が撤退していった無人地帯へと飛び込むことに。
果たして2人は約1,600人もの味方を救うことができるのでしょうか。
『1917 命をかけた伝令』感想
宣伝に偽りなし!異次元の没入体験映画です。
アカデミー賞で撮影賞、録音賞、視覚効果賞を受賞しただけあり、とにかく映画『1917 命をかけた伝令』は映像の素晴らしさにまず驚かされます。
ただし、全編ワンカットと予告や宣伝で謳われていますが、さすがにこれは誤解を招く表現で実際は何回かの長回しで撮影された映像をワンカットに見えるよう編集されたものです。
くりす
撮影チームはカメラの動きを緻密に計算した上で撮影したそうですが、その甲斐あってか素晴らしいワンカット風映像に仕上がっています。
👑#1917伝説👑
ワンカットで撮影された各シーンが継ぎ目なくつながり、全編がまるで長回しのシーンのように見える『#映画1917』
カットの継ぎ目に観客が気付かないくらい
自然に映像を繋げるのは、まさに神業😮#サム・メンデス は編集の #リー・スミス を
「隠れたヒーロー」と讃えています👏 pic.twitter.com/BhBUw34qlG— 映画『1917 命をかけた伝令』公式 (@1917_moviejp) February 23, 2020
何よりワンカット映像は観客を映画の世界に引き込むことに大きな役割を果たしています。
危険な伝令任務を負った2人と一緒に戦場を駆けて行くような緊張感。
総じて戦争を題材にした映画はピンと空気が張り詰めたような感覚を鑑賞中覚えますが、『1917 命をかけた伝令』は今までにない息苦しさを感じます。
くりす
こんな体験はなかなかできるものではないので、戦争映画だからと敬遠している人にもぜひ観て欲しい映画です。
くりす
撮影監督にはロジャー・ディーキンスの名前がありますが、映画『ブレードランナー 2049』『007 スカイフォール』などを観ていると、なるほど彼だなと思う画があります。
👑#1917伝説👑
撮影カメラとしてARRIFLEXを
長年使用してきた #ロジャー・ディーキンス🗣️アリ社に相談すると
完成直後の最新型カメラを使えることに🎥大型スクリーンフォーマットを搭載しつつも
小型なアレクサ・ミニLFは『#映画1917』にとって理想的でした👍 pic.twitter.com/41Y71QGInB— 映画『1917 命をかけた伝令』公式 (@1917_moviejp) February 15, 2020
そしてサム・メンデス監督らしい、西洋絵画のような幻想的で美しさのある風景もところどころ差し込まれています。
くりす
英国俳優好きなら、見て損なし!主役のジョージ・マッケイ、素晴らしいです。
マーベルのスパイダーマン役でおなじみトム・ホランドの出演交渉は、上手くいかなかったという本作『1917 命をかけた伝令』。
最終的には、ジョージ・マッケイとディーン=チャールズ・チャップマンが、伝令を務めたイギリス兵を演じることになりました。
くりす
スコフィールドという過去や家族構成など明確にされないしなぜか家に帰りたくないと言う秘密はあるけど、けれど仲間想いではあり胸の内には勇敢さを持つ青年にぴったりでした。
映画全編において、ジョージ・マッケイの演技は素晴らしいとしか言えないのですがラストシーンはまさに秀逸です。
トム・ブレイクは、スコフィールドと比べるとずっとわかりやすい青年でした。
家族を愛し兄のためなら危険な任務もためらわず、戦場にいながらも善良さを持ち観客にとっても理解しやすい心優しい19歳。
誰かにとっての良き息子であり兄弟で、スコフィールドにとっても年下の大切な友人。
こちらのキャスティングも見事としか言いようがなかったです。
2人の友情を感じられるシーンのケミストリーはなかなかなものでした。
くりす
そして、メイン2人も良かったのですが、あまり出番の多くない役を演じる豪華な顔触れがまた英国俳優好きにはたまりませんでした。
どんな役も自由自在なマーク・ストロング、ドラマ『シャーロック』で日本でも人気のアンドリュー・スコット、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のロブ役で世界的に知名度が上がったリチャード・マッデン、みんな大好きコリン・ファース、大人気俳優のベネディクト・カンバーバッチ。
もちろんそんな実力派であり人気もある俳優が演じる役は出演時間が短くても、存在感を示さなければいけない重要な役どころ。
くりす
👑#1917伝説👑
主人公たちが任務遂行の過程に出会うのは
非常に重要な人物ばかり🎥短い場面で緊張感を表現できる
俳優が必要でした。そこで #サム・メンデス 監督は
過去に一緒に仕事をした名優を起用―「短いシーンの中でも鮮明にキャラクターを描写してくれると確信していた」と語ります🖋 pic.twitter.com/7YRTUBAQlw
— 映画『1917 命をかけた伝令』公式 (@1917_moviejp) February 25, 2020
くりす
これが3分のマッデンさんかな💙✨
軍服も似合う💙#リチャード・マッデン #1917 pic.twitter.com/3VW5j0qtDa— rmh. (@rmhfirstwater) December 9, 2019
よくよく見ると、そこまで似ているかなと思うのですが、スコフィールドが初めて会った時「ああ、ブレイクのお兄さんだ」と、観客にもすぐにわかること間違いなし。
くりす
格好良すぎるマーク・ストロングや、やさぐれ具合が最高なアンドリュー・スコットのファンは、ほんの少しの出番とはいえ間違いなく満足できます!
くりす
そんなわけで、英国俳優が好きな方はキャストに注目して観るのも楽しみの1つという作品になっています。
舞台となるのは第一次世界大戦中の、ある1日。
第一次世界大戦は1914年7月28日から1918年11月11日までヨーロッパを主戦場とし25ヶ国が参加して繰り広げられた歴史上最初の総力戦でもあった戦争です。
複雑な問題を当初からはらんでいた戦争ですが、終戦後ドイツに連合国側が一方的に戦争責任を押し付けたことで、大きな禍根を残すことになりました。
参戦国の間にも対立関係は残り、結果わずか21年後の1939年、第二次世界大戦が勃発しました。
くりす
前線の兵士だけでなく、国民も戦争に動員された初めての総力戦だった第一次世界大戦は毒ガスや戦車、飛行機などの新兵器が投入されそれまでの戦争とは比較にならないほど多数の戦死者が出ました。
本作『1917 命をかけた伝令』の主人公たちが属するイギリス軍も、90万の戦死者を出したと言われています。
くりす
第一次世界大戦では両軍ともに、敵に背後に回り込まれないようにとスイス国境からイギリス海峡までという長い塹壕(陣地の周囲に掘る穴、または溝のこと)が掘り進めました。
『1917 命をかけた伝令』は現代戦でも運用される塹壕戦を、生々しく描いているとの評価も高いです。
◤◢◤◢◤◢◤◢
『#映画1917』
特 別 映 像 解 禁
◣______◢史実に忠実にゼロから作り上げられた
リアルな塹壕の撮影の裏側が公開🎬美術チームの細部に至るまでの
徹底したこだわりは圧巻の映像です✨🔎詳細はこちらhttps://t.co/17ddasThn9 pic.twitter.com/9OhRbgpP5r
— 映画『1917 命をかけた伝令』公式 (@1917_moviejp) February 17, 2020
絶対的に防御側が優位な塹壕戦を攻略するため生み出されたのが戦車なのですが、第一次世界大戦では戦いに登場するのは数回のみ。
しかしイギリスが生み出した新兵器の噂を聞いた各国はこぞって戦車の開発に躍起になったため、やがて大規模な塹壕戦は姿を消すことになります。
くりす
- 第一次世界大戦下では、塹壕戦がメインだった。
- ドイツが防御強化のためヒンデンブルグ戦に撤退したのは2月23日から4月5日にかけて。つまり映画の前日までのこと。
- 映画で描かれた1917年4月6日は、アメリカ合衆国がドイツに宣戦布告した日。
たとえこの時、スコフィールドの届けた伝令で多くの犠牲者を出すことを止められたとはいえ、戦争が終わるのはまだ1年以上も先のこととなります。
スコフィールドたちには戦争はまだ終わりが見えないものであると思うと、やりきれなさや虚しさも覚えてしまいます。
ところで、本作のストーリーはサム・メンデス監督が祖父から聞いた話を元にしているそうです。
大戦中、監督の祖父・アルフレッドはイギリス軍で西部戦線の伝令を務めていたそうなので(しかも19歳の時に)映画のリアルさも納得です。
『1917 命をかけた伝令』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
👑#1917伝説👑
デビュー作でアカデミー監督賞に
輝いた #サム・メンデス 監督ですが2019年に「#ザ・フェリーマン」で
トニー賞を受賞したように
舞台演出家としても超一流👏「映画」と「演劇」で“演出”の頂点を極めた
当代髄一の巨匠がその至芸を
『#映画1917』で発揮しています💥 pic.twitter.com/MztZRJ3kqY— 映画『1917 命をかけた伝令』公式 (@1917_moviejp) February 18, 2020
以上、ここまで『1917 命をかけた伝令』についてレビューしてきました。
- 映像に囚われすぎると、映画そのものが楽しめなくなるおそれあり。できれば撮影方法や編集箇所など、鑑賞中はあまり考えないように。
- 物語の軸はシンプルですが、緩急ある演出や友情をメインにした人間ドラマで、ラストまで飽きさせません。
- 本作とあわせて、ピーター・ジャクソン監督の『彼らは生きていた』の鑑賞をおすすめしたいです。
▼動画の無料視聴はこちら▼