『ノラ』あらすじ・ネタバレ感想!染谷将太主演!不思議な関係の3人の短い共同生活の末に、少年は…?

『ノラ』あらすじ・ネタバレ感想!染谷将太主演!不思議な関係の3人の短い共同生活の末に、少年は…?

出典:ビデオマーケット

何かから逃げていた少年は不注意で軽トラに撥ねられてしまい、意識を失います。

目を覚ました時に「俺は命の恩人だから船の修理を手伝え」と言ってきた軽トラの運転手と、その娘との数日間の物語です。

ポイント
  • 染谷将太の発展途上な危うさ、儚さ、圧倒的な演技力にシビレます
  • 自主制作作品でかつ初めて監督を務めた大庭功睦の作品
  • 暗めな話、重い作品が好きな人にはぜひ見て欲しいです

それでは『ノラ』をネタバレありでレビューします。

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『ノラ』作品情報

 

作品名 ノラ
公開日 未公開
上映時間 75分
監督 大庭功睦
脚本 大庭功睦
出演者 染谷将太
三原康可
高野七聖
外間勝
安保由夫
諏訪太朗

【ネタバレ】『ノラ』あらすじ


不思議な関係の3人の出会い

蝉が鳴く鬱蒼とした雑木林の中、片足を引きずりながら何かから逃げるように走る青年、葛西幸雄。

やがて舗装された道路に出たところで軽トラに撥ねられてしまいます。

軽トラを運転していた野見山繁はちょっとした弱みを握っている店主のいる食事処へと幸雄を運びます。

店主は「110番しよう」と言いますが、繁は弱みを盾にして断ります。

やがて2人が揉めていると、幸雄は目を覚ましました。

何があったのか覚えてないというのを聞いて、繁は「県道でひき逃げされたんだと思うよ」と他人のせいということにしました。

そしてこともあろうに自分が助けたと言い出し、警察と関わり合いになることを避けたがる様子を見て「命の恩人についてこい」と言いました。

繁は幸雄を家出少年だと思っていました。

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さっき幸雄を撥ねた軽トラに乗せて向かったのは自宅です。

幸雄は庭でアカネという繁の娘と出会います。

繁は「お前は俺に借りができた。船の修理を手伝え」と言いました。

明々後日までに終わらせるから、それまでという期限付きで幸雄は泊まり込みで手伝いをすることにします。

嫌なことは忘れて気楽にやってくれと通された空き部屋で、幸雄はいつの間にか転寝をしてしまいました。

あたりが薄暗くなったころ悪い夢を見て目を覚ますと、家の中には繁もアカネもいなかったので、幸雄は荷物を持って家を飛び出します。

あてもなく歩いていると海に辿りつきました。

そこには繁とアカネがいました。

繁は幸雄が逃げ出そうとしたことを咎めるわけでもなく、これからどこに行くつもりなのか聞きました。

細かいことを打ち明けたくなかった幸雄は、繁が自分のことを助けたのではなく轢いたということを覚えているのを盾にしてかわします。

繁はひとまず「今日は泊まっていけ、明日駅まで送ってやる」と言いました。

幸雄が逃げていた理由

翌日、約束通り駅まで送ってもらえることになり幸雄が玄関で靴を履こうとした時、アカネが無言で幸雄の前に立ち外に出るのを阻みました。

やがて玄関先に警官がやってきて、すでに外で待っていた繁と立ち話を始めます。

警察は白いシャツを着た足の悪い高校生くらいの男の子を探していると言いました。

繁は知らないと答えました。

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どうやら、幸雄は電車の中で人を刺したらしいのです。

刺された方は大したケガではなく、そうなる発端も幸雄は悪くないことでした。

繁は幸雄を家の奥に促して匿います。

警察も特に訝しむ様子もなく、知らないならいいやと言って去って行きました。

幸雄の事情を知った繁は怒鳴って叱りましたが、幸雄は「刺したわけじゃない。本気だったら刺してたけど切っただけで自分は悪くない」と言うばかりでした。

夜通し同じ場所に座って拗ねていた幸雄がようやく腰を上げた時、繁は頬を引っぱたきました。

幸雄は翌日から約束していた船の修理を手伝い始めます。

作業の合間、繁は幸雄に食事処から何か食べるものをもらってこいと言いました。

渋々やってきた幸雄に店主は他愛のない話を始めます。

会話の中で、幸雄はもうすぐ繁の奥さんの命日だということを知ります。

店主は話の流れで「アカネは奥さんの連れ子で…」というところまで言って話すのをやめてしまいました。

幸雄の父親

幸雄はまた悪夢をみていました。

黄色いレインコートを着た男の子がずっとこっちを見ていたり、ウェーブのかかった長髪の男性らしき影が木刀のようなものを振り下ろしてくる夢。

うなされているのを起こした繁の影が悪夢の中の影と重なって、混乱した幸雄はバッグからナイフを取り出しました。

落ち着かせようとする繁の声は幸雄には届かず、仕方なく繁は素手でナイフの刃を握って制止します。

手に負った傷を自分で手当しながら、繁は幸雄に夢のことを聞きました。

夢の話とともに幸雄は自分の生い立ちを話します。

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幸雄の足は10年前に父親にやられたものでした。

アル中だった父親は母親に暴力をふるったり、酔っぱらっては迎えに来いと言ったりしていました。

雨のひどい日にいつものように迎えに来いと言われて出て行った母親は帰らぬ人となり、それからは暴力の矛先は自分に向いたと幸雄は言います。

父親は最近まで刑務所に入っていて、いまは別のところにいるということまで突き止めている幸雄は、父親に復讐しようと思っていました。

思いつめた様子で話すのを見ていた繁は、手当てした手を眺めて「これじゃノコも握れねぇ」とぼやきます。

混乱していたとはいえ繁にナイフを向けて、怪我までさせてしまったので幸雄は「働かせてください」と頭を下げました。

ナイフは繁が預かっておくことになりました。

“復讐”

手の傷のせいでノコギリを引けない繁に代わって幸雄が木を切り手伝い、ようやく船の修理が完了しました。

いつしか奥さんの命日の前日になっていました。

その夜、繁は奥さんについて幸雄に打ち明けます。

奥さんは3年前、自分で海に身を投げて死にました。

アカネはどうやら繁のせいだと思っているようでした。

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肝心の奥さんが死んだ理由は繁にもわかりませんでした。

船も直ってこの先お前はどうするんだと聞かれた幸雄は、「明日父のところに行きます」と言います。

繁は預かっていたナイフを返してケリをつけたいなら何か他の方法を考えろと言いました。

次の日、修理した船で繁と幸雄とアカネは海へと漕ぎ出します。

沖の方まで出たところで船を停め、アカネはいつも母親の写真のところに手向けるガーベラの花を空に向かって投げました。

そのあと幸雄は隣町の駅まで送ってもらい、電車に乗って父親が住んでいる場所を訪れました。

しかしそこには誰もおらず、通りがかった人に聞いてみると「半年前に出て行った」と言われます。

そしていまは「駅のガード下に大体いる」ということも教えてもらいました。

幸雄は駅に行ってみましたがガード下には父親はいませんでした。

しかし父親らしき男を見つけて後をつけていくと廃墟のようなところに入って行きます。

幸雄はナイフを握りしめて、復讐を遂げようとしましたが父親は幸雄のことを「ほとんど忘れていた」と言いました。

そしてひどい言葉を浴びせ、殺しに来たなら殺される覚悟もしてるんだろうな?と煽ります。

わずかに怯んだ幸雄に父親は「消えろ。次見たら殺す」と言いました。

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「お前には俺と同じ血が流れている。生きるためなら何でもやる野良犬の血が流れている」という侮辱とも罵倒ともとれる言葉を履いた父親の言葉に幸雄は思うところがあったようで。

父親に向けていたナイフで自分の手のひらに傷をつけ、父親の頬に血をつけて「死にたいなら勝手に死んでくれ」と言って廃墟を後にしました。

そして幸雄は繁の家に向かいます。

しかしインターホンを鳴らしても誰も出てこず、海に向かってみると繁とアカネを見つけました。

2人が竹トンボで遊んでいる様子を見て、幸雄は声をかけられませんでした。

【ネタバレ】『ノラ』感想

染谷将太の演技がすごい

『ノラ』を一言で言うなら、重くて壮絶。

父親がアル中という家庭環境で育ち、母親を亡くして片足が駄目になるほど悲惨な虐待を受けていた主人公・幸雄が父親に復讐する話です。

vito

なんだけど、その手前でちょっと騒ぎを起こしてしまって逃げた先でたまたま事故に遭って、たまたまその加害者の男性・繁のところに少しだけお世話になってほんの少し考えが変わった…のかなぁ。変わったんだと思う、私は。そんな話です。

商業映画ではなくて自主制作作品なので恐らく染谷将太のファンでない限りあまり知る機会がない人の方が多いんじゃないかなと思って記事を書きました。

別に人生の教訓になるような話ではないし、見たあとスカッとするわけでもないし、どちらかというと淡々と進んでいく話なので退屈な人は退屈かもしれない。

vito

でも何て言うのかな、語弊があるかもしれないけど“芸術作品”として色んな人の目に触れたらいいなと個人的に思う作品です。

動画配信で見られるところもあるし、レンタルショップでも置いているところがあったりするので気になった方はぜひ。

時間も74分と短めなのでさくっと見られます。

繁に出会っていなかったら幸雄は父親と対面して躊躇なく殺していたかもしれない。

繁とアカネと過ごした時間とか交わした言葉、経験があって殺さない形で“復讐”を遂げたのかもしれない。

vito

幸雄を演じた染谷将太は、なんかそういうギリギリのところでの葛藤だったりとか細かい表情の演技がうまいなぁと思いました。

悪夢から目を覚ました時の表情、父親と対面している時の表情は特に鬼気迫るものがあって良いです。

当時17歳でこの演技力だから凄いですよね、

セリフとか声色の芝居もさることながら目の演技がとんでもない。

vito

私は特に父親のところに向かう時と父親と対面したあとに繁のところに向かう時の電車の中での表情が凄く好きです。

『ノラ』キャスト、スタッフ情報

前の項目でも書いたように『ノラ』は自主制作ということもあって情報を調べてもあまりパッと出てこなかったりするのでここに簡単にまとめようと思います。

vito

ウィキ的なやつじゃなくて完全に個人の主観による印象みたいなものなので、Vitoのメモ書きみたいな感じだと思っていただけたら。

監督・脚本は大庭功睦、2011年の『ノラ』を手がけ、2018年には『キュクロプス』、2020年には水川あさみ主演で『滑走路』が公開予定です。


他にも映画やドラマで助監督を務めていたりするので目にしたことのある人は結構いるんじゃないかなと思います。

vito

主演の染谷将太は映画でもドラマでもよく見るしシリアスもので影のある役からギャグもので振り切った役まで演じる面白い人だなぁと個人的に思います。

ヴィネツィア国際映画祭や日本アカデミー賞などで数々の賞をもらっているだけのことはありますよね。

ちなみにファンの方ならご存知でしょうけど高校の頃から映画の自主制作をしていたらしいです。

繁を演じた三原康可は『ピストルオペラ』や『ROCKERS』など映画やドラマに出ていて舞台もやってます。

vito

蜷川幸雄の『ハムレット』にも出てます。なんか蜷川幸雄の舞台に出てるってだけで「すげぇ」と思っちゃうのは私だけですね、そうですね。

他にはCDプロデュース、映画音楽プロデュース、ヨウジ・ヤマモトのパリコレとかにも出てたりする人です。

多才なんだなぁ。

『ノラ』まとめ

以上、ここまで『ノラ』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • 重めで暗い作品を探しているけどラストで絶望はしたくないなぁって人におすすめ
  • 自主制作映画は普段見ない人にも触れて欲しい作品です
  • 演者の表情や視線、目、呼吸とかそういう細かいところを見るのが好きな人には絶対見て欲しい!
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