『工作 黒金星と呼ばれた男』あらすじ・感想!実在したスパイ「黒金星」が見た北朝鮮の真実は?

『工作 黒金星と呼ばれた男』

出典:U-NEXT

韓国映画が暴く、韓国と北朝鮮の裏の裏の裏…。

1990年代に実在したスパイ「黒金星」(ブラック・ヴィーナス)の手記をもとに製作された『工作 黒金星と呼ばれた男』。

マルコヤマモト

全編に漂う緊張感がたまらない、新感覚のスパイ・サスペンスです!
ポイント
  • 実在する工作員がモデルであることと、1990年代というあまり昔ではない時代の出来事に驚き!
  • 全編に緊張感漂う超リアルなスパイ映画&セリフ多めの「マウスアクション」
  • 北朝鮮の町並みを再現したセットや故・金正日総書記(役)があまりにもそっくり過ぎてビックリ

ファン・ジョンミン、チュ・ジフンはじめ、韓国のイケオジ俳優好きにもおすすめの『工作 黒金星と呼ばれた男』のネタバレなしレビューです!

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『工作 黒金星と呼ばれた男』作品情報

(C)2018 CJ ENM CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

作品名 工作 黒金星と呼ばれた男
公開日 2019年7月19日
上映時間 137分
監督 ユン・ジョンビン
脚本 ユン・ジョンビン、クォン・ソンヒ
出演者 ファン・ジョンミン
イ・ソンミン
チョ・ジヌン
チュ・ジフン
音楽 チョ・ヨンウク

『工作 黒金星と呼ばれた男』出演者・キャスト/役柄

ファン・ジョンミン / 役:パク・ソギョン(ブラック・ヴィーナス )

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  • 今作の主人公でスパイ。コードネーム「黒金星」
  • 韓国陸軍の少佐だったが国家安全企画部からスカウトされスパイへ転身
  • 北朝鮮の核開発の実態を掴むための潜入任務を与えられる
  • 黒金星は韓国に実在するスパイ

イ・ソンミン / 役:リ・ミョンウン

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  • 朝鮮民主主義人民共和国、対外経済委員会の所長
  • パクが北京で一番最初に近づく北朝鮮の要人
  • 物腰が柔らかいが、鋭い洞察力を持ち合わせている
  • パクを警戒しつつも徐々に信頼を寄せ、南北共同の広告事業を行う

チョ・ジヌン / 役:チェ・ハクソン

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  • 韓国の国家安全企画部室長
  • 工作戦を企画し背後で操る「黒金星作戦」を始めた人物
  • やがて国家上層部に従う忠誠心が自分の保身へと変わっていき…

チュ・ジフン / 役:チョン・ムテク

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  • 朝鮮民主主義人民共和国国家安全保衛部の課長
  • 北京駐在の対外経済委員会の所属になっているが、実際は安全保衛部の課長
  • リ所長の外貨稼ぎとは趣旨が異なり、国家を守ることが目的
  • 初対面のときからパクを疑っている

『工作 黒金星と呼ばれた男』をもっと楽しむための予備知識

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今作『工作 黒金星と呼ばれた男』に興味を持った方が、少しでも楽しめるように、映画を楽しむための予備知識をご紹介します!

韓国に実在したスパイ「黒金星」(ブラック・ヴィーナス)とは?

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黒金星のヒミツ
  • 韓国史上最も成功した「対北工作員」
  • 実在するスパイで今も存命しており、映画の企画段階では収監中だった
  • 故金正日総書記と面会し、その際尿道に超小型のレコーダーを隠していた

マルコヤマモト

今作に登場するスパイ「黒金星」は、韓国に実在したスパイのコードネームです。

『工作 黒金星と呼ばれた男』は、ユン・ジョンビン監督が実際に黒金星(パク・チェソ)に取材をしてシナリオをまとめました。

黒金星ことパク・チェソは、映画の通り不満を抱きビジネスマンに転身した韓国兵を演じて、北朝鮮との共同広告事業を行いながら工作活動を続けていました。

さらに、映画に登場するように故金正日総書記のために古い焼物の売却にも協力していたほか、北朝鮮の高官に渡すためのロレックスの模造品を渡していたこともあるそうです。

パク・チェソの手記や公開された映画をもとに、当時の非武装地帯を超えた経済&政治の闇のつながりが、改めて明らかになりました。

マルコヤマモト

映画に登場する黒金星の行動が、実際にあったことだけでもかなりリアルで驚きますよ!

1990年代の朝鮮半島の情勢:北朝鮮の核開発を巡って

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黒金星が暗躍した1990年代前後の朝鮮半島にはこのような出来事がありました。

  • 1987年北朝鮮が大韓航空機を爆破
  • 1998年にソウルオリンピックが開幕されるが北朝鮮がボイコット
  • 1990年~北朝鮮の核開発が活発化する
  • 1991年北朝鮮が国連へ加盟、非核化交渉、日韓交渉を進める

当時北朝鮮は、大韓航空機爆破事件をあとに「テロ国家」と指定され、1990年代には核開発に着手。

マルコヤマモト

北朝鮮の核開発情報を巡って、潜入任務を与えられたのが黒金星です。

また、韓国では選挙や政権の危機が迫ったとき、北朝鮮による事件が起きて国民の世論が変化するという「北風現象」があります。

黒金星がまだ工作活動を続けていた1996年の韓国大統領選挙では「北風」が吹き与党が勝利。

当時の保守系候補者の支持者たちから投票日の数日前に武力攻撃を仕掛けるよう指示された北朝鮮の役人がいたことも、黒金星パク・チェソが語っていました。

『工作 黒金星と呼ばれた男』あらすじ・感想【ネタバレなし】


『工作 黒金星と呼ばれた男』あらすじ

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北朝鮮が核開発に着手し始めた1990年初頭、朝鮮半島は緊迫していました。

国家安全企画部から「工作員になれ」との一言で、陸軍少佐だったパクソギョン(ファン・ジョンミン)の人生は一変します。

北朝鮮の核開発事情を探るために別の人物になりすまし、北朝鮮へ潜入するように工作活動を命じられたのです。

パクは国家安全企画部の室長、チェ・ハクソン(チョ・ジヌン)から「黒金星」(ブラック・ヴィーナス )というコードネームを与えられ、工作活動を開始。

事業家になりすましたパクは中国北京へ向かい人脈を広げた末、当時の北朝鮮のトップ金正日と単独出会える人物であるリ所長(イ・ソンミン)とコンタクトをとることに成功します。

リ所長は様々なアプローチでパクをテストしながらお互いに信頼を寄せる関係になってゆき、パクは北朝鮮の景勝地で韓国のCM撮影をすることを提案しました。

リ所長はパクの提案を受け入れ、平壌で協議にかけることに…。

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その頃、韓国は大統領選で揺れていました。

野党の金大中が政界復帰することで現政権を脅かしていましたが、大統領選の6日前に北朝鮮からの武力挑発を受けたことで国民の心が動き、現政権が勝利する結果に終わりました。

そんななか、リ所長からパクに1本の電話が入ります。

電話の内容は、金正日が泊に会いたがっているから平壌に来てほしいというものでした。

平壌にて「健康状態の精密検査」と謳った自白剤を使った尋問にも耐えたパクは金正日と面会し、南北の共同広告事業の許可を得ます。

北朝鮮でロケーションをすると同時に核開発の事実を探る任務を進めるパク。

しかし、表向きの広告事業を進めるうちにパクとリ所長の間には奇妙な絆が芽生え始めていたのでした。

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1997年、再び大統領選が迫った韓国では、立候補した金大中が支持率1位を獲得していました。

そしてパクは、金大中当選を阻止したい韓国と北朝鮮の間で裏取引が行われており、自分が命をかけた工作活動が無になろうとしていることに気付きます。

苦悩した末、パクはリ所長に危険な「冒険」を持ちかけたのです…。

『工作 黒金星と呼ばれた男』感想

最近の韓国映画の時系列で並べると、

  • 『タクシー運転手~約束は海を越えて~』=1980年
  • 『1987、ある戦いの真実』=1987年
  • 『工作 黒金星と呼ばれた男』=1992年~1996年

マルコヤマモト

の順番に観ることで近年の韓国の情勢が理解できたり、新たな発見がありますよ!

『工作 黒金星と呼ばれた男』は、韓国映画がまた自国の闇を暴いた衝撃的な作品でした。

戦いの末に民主化を得た韓国の、今度の相手は北朝鮮。

マルコヤマモト

韓国と北朝鮮という関係性だけでも非常にピリつく感じがしますよね!

そんな2国間の間に起こるジリジリを描いたのが『工作 黒金星と呼ばれた男』。

2時間ずーっと緊張感が続き、派手なアクションもなく少々疲れる作品であることも否めないですが、それ以上に得るものは大きかったです。

まず「黒金星」が実在するスパイで、今も存命しているということに驚きを隠せません!

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そしてハリウッドのスパイ映画『ミッション・インポッシブル』や『007』などは、スパイなのに派手!ということに今更気付いたのです。

マルコヤマモト

スパイって、本来ならば存在を隠すべき存在じゃないのか…?

派手なスパイ映画ばかり観ていて忘れかけていましたが、『工作 黒金星と呼ばれた男』には「本物のスパイ」を感じます。

本物を感じるからこそ全編に渡り、リアルな緊張感を張り詰めることができたのだと私は思っています。

「撃つの?撃たれるの?」「バレる?バレちゃった?」と終始ドキドキしながら画面にかじりついていました。

ファン・ジョンミン演じるパク・ソギョンが「孤独のグルメ」の主人公、井之頭五郎(松重豊)に見えてしまうことも、ある意味スパイとして他の人物になりきるための完璧な変装だった事に気づき、観終わった跡で「う~ん!」と大きく唸ってしまいました!

マルコヤマモト

本当のスパイは目立たない!

『工作 黒金星と呼ばれた男』のSNSでの感想・評価

確かに『工作 黒金星と呼ばれた男』には、基本オッサンしか登場しませんでした。

マルコヤマモト

でもこんなに演技派なオッサンばかりの韓国映画界ってどうなっているの…?と不思議に思うほど素晴らしいオッサンしか登場していません!うーん…語彙力!

また物語に関して、2時間に渡る緊張感に耐えられる人からは、好評価を得ることができていました。

派手なアクションがないため退屈に感じる方はいるかも知れませんが、今作特有の「マウスアクション」をぜひお楽しみください。

マルコヤマモト

実はアクションシーンを1シーン撮影していたようですが、本編では結局カットされたようです!

ちなみに、私が大好きな映画館「シネマート心斎橋」主催のアカデミー賞では『工作 黒金星と呼ばれた男』が、作品賞と主演男優賞を受賞!

マルコヤマモト

韓流ファンが多く集まるシネマート心斎橋でも、2019年公開作品の中でひときわ高い評価を得ることになりました。

『工作 黒金星と呼ばれた男』まとめ:ある意味「リアル」なスパイ映画を見た

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要点まとめ
  • 現実にあった物語を最高の役者と演出でエンタメに昇華できている素晴らしい作品
  • 自国の闇を暴く韓国映画の潔さには相変わらず脱帽と、韓国にはそれを表現できる人間がいる
  • 退屈に思う方もいるほどアクションは皆無。しかしセリフのやり取りや駆け引きだけで漂う緊張感が最高!

マルコヤマモト

韓国映画『工作 黒金星と呼ばれた男』をご紹介しましたが、いかがでしたか?

観終わった後に背筋がピンと伸びるような映画は久しぶりでした。

私が小学生くらいの頃に実際起きていた事件でしたが、大人になったいま、まさか映画で知ることになるとは思ってもいませんでした。

しかに言葉のやり取りも多いですが、逆にアクションに発展しないし頼らないところが今作の良いところだと、個人的には思っています。

マルコヤマモト

ちょっと最近ゆるんでいるな~と思う人にもおすすめの作品です!

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