『ブロークバック・マウンテン』あらすじ・感想!ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールの普遍的な愛の物語

『ブロークバック・マウンテン』あらすじ・感想!ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールの普遍的な愛の物語

出典:U-NEXT

愛はこんなにも素晴らしい。

でも同時に残酷でもあることを感じさせられた映画です。

ポイント
  • 始まりは新聞に掲載された短編小説から
  • 作品を愛した役者たち
  • 認められない同性愛
  • 温かく苦しい、涙なしには見られないラスト

それでは『ブロークバック・マウンテン』をネタバレなしでレビューします。

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『ブロークバック・マウンテン』作品情報

(C)2005 Focus Features LLC/WISEPOLICY

作品名 ブロークバック・マウンテン
公開日 2006年3月4日
上映時間 134分
監督 アン・リー
脚本 ラリー・マクマートリー
ダイアナ・オサナ
原作 E・アニー・プルー
出演者 ヒース・レジャー
ジェイク・ギレンホール
ミシェル・ウィリアムズ
アン・ハサウェイ
ランディ・クエイド
リンダ・カーデリーニ
アンナ・ファリス
スコット・マイケル・キャンベル
ケイト・マーラ
音楽 グスターボ・サンタオラヤ

『ブロークバック・マウンテン』あらすじ・感想【ネタバレなし】


低予算映画からの金獅子賞

『ブロークバック・マウンテン』は同性愛の映画です。

『ブロークバック・マウンテン』がアメリカで公開されたのは2005年のことでした。

当時は今ほどLGBTQ+に関連する活動が盛んではなく、制作は監督に依頼するところから困難を極めたと言います。

アン・リー監督といえば『グリーン・デスティニー』や『ハルク』といった有名作品の監督を務めたことで有名ですが、『ブロークバック・マウンテン』の話を受けたとき、ちょうど大作を作ることに疲れていたそうです。

そんなアン・リーは『ブロークバック・マウンテン』の脚本を読んだあと、感動のあまり監督を務めることに決めたといいます。

出典:IMDB

低予算で厳しい面もあったといいますが、結果的に『ブロークバック・マウンテン』は口コミによって全国的に広まり、記録的な高評価を受けたのでした。

公開当初は「ゲイのカウボーイ・ムービー」という酷評もあったものの、アン・リー監督が「これは普遍的な愛の物語」と公言し、それは世間に広く受け入れられました。

とーる

それがアカデミー賞のノミネートと受賞、そしてヴェネツィア国際映画祭のグランプリである金獅子賞受賞へと繋がったことには間違いありません。

リスキーな役を演じ、作品を愛した俳優たち

『ブロークバック・マウンテン』の制作には様々な困難が待ち受けていました。

その一つが俳優へのオファーです。

当時、同性愛者を演じることはリスクが高く、オファーを断る俳優も当然いました。

結果オファーを受けたのは、当時まだそこまで有名ではなかった、ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールです。

出典:IMDB

ヒースもジェイクも、同性愛者を演じることへのリスクは理解していました。

ヒースにいたっては、同性愛者の役を演じることで友人から縁を切られたそうです。

とーる

それでもオファーを受けたのは、それだけ『ブロークバック・マウンテン』が感動的で意味のあるストーリーだったからということでしょう。

『ブロークバック・マウンテン』は多くの賞を受賞し、その度に主役のヒースとジェイクはインタビューに答えました。

インタビュアーの中には「ヒースとジェイクは本当に付き合っているのではないか」「ゲイのカウボーイ・ムービーに出た感想は?」などと質問する人もいたのですが、ヒースもジェイクも「本当に僕たちが付き合っていると思われてるなら、役者として嬉しい」「素晴らしい作品に対して、差別的なジョークは言いたくない」と答えています。

特にヒースはアン・リー監督と同じく『ブロークバック・マウンテン』が普遍的な愛の物語であることを強調し、決して作品を茶化すような言葉は口にしませんでした。

最近では、当時のことを振り返ったジェイクが「アカデミー賞授賞式で『ブロークバック・マウンテン』をネタにするような出演依頼があったんだ。僕は楽しければそれでいいと思っていたんだけど、ヒースは違った。ヒースは「これは俺の中でジョークじゃない。ジョークにしちゃダメなんだ」と言って断った」ということを明かしています。

ヒースは『ブロークバック・マウンテン』での演技が評価され、一気に演技派俳優としての道をたどっていきます。

とーる

『ブロークバック・マウンテン』がヒースの人生における、様々な転機になったことは間違いないでしょう。

普遍的な愛とは

「普遍的」を辞書で引くと「多くのことにあてはまる物事」という説明が出てきます。

『ブロークバック・マウンテン』は普遍的な愛のストーリーであると監督や出演者が言っていますが、ではどのようなストーリーなのでしょうか。

物語はワイオミング州のブロークバック・マウンテンという山から始まります。

夏の間、山に羊を放す際の監視役として、イニスとジャックは羊と共に山へ登りました。

出典:IMDB

この世界には、自分と羊と初対面の相手だけ。

イニスは無口で、ジャックもイニスとの接し方に迷っているようです。

最初はぎこちなかった関係ですが、2人は徐々に距離を縮めていきます。

とーる

ジャックがロデオボーイであること、イニスの家族環境、山や羊のことなど、少しずつ友情を築きあげていっているように感じられました。

関係の変化というのは一瞬です。

2人の関係が変化したのはとある夜でした。

酒を飲んで焚き火の前で寝てしまったイニスは、夜の寒さに凍えてしまいます。

出典:IMDB

ガタガタと震える声に気付いたジャックが自分のテントに入るよう促し、イニスは寒さから逃げるためにジャックのテントへと入りました。

ジャックは眠ったイニスの手を取り自分の体を触らせるのですが、イニスは驚いて飛び起きます。

そこから2人は熱を分け合うことになり…。

とーる

ちなみにここまではまだストーリーの序盤です。むしろメインはこのあとと言ってもいいでしょう。

『ブロークバック・マウンテン』は、イニスをメインにした2人の関係を20年間に渡って描いた作品です。

イニスとジャックはそれぞれ家庭を持ちながらも、2人で過ごした山での思い出が忘れられず、秘密の関係を続けていきます。

出典:IMDB

イニスとジャック、それぞれの人生を歩む中で、2人だけの時間を過ごすことができたのはわずかな時間でしょう。

しかしその時間が、イニスとジャックの人生を大きく変えていくのです。

ぜひとも実際に見ていただきたい作品ですので、ここで結末は言いません。

とーる

私はというと、号泣しました。2回見て、2回とも大泣きしました。結末がわかっているのにこんなに泣いた映画は初めてです。

ちなみにイニスとジャックが4年ぶりに再会をする場面があるのですが、そこでのキスシーンは見どころです。

出典:IMDB

とーる

2006年のMTVベストキスアワードに選ばれ、イニス役のヒースが「相手の鼻を折りそうになった」といったほどの激しいキスシーンは、皆さんに見てほしいと思っています。

イニスとジャックとそれぞれの家庭

イニスとジャックにはそれぞれ家庭があります。

出典:IMDB

なので2人の関係は不倫です。

とーる

妻の視点に立てば、自分や子どもがいるのに夫が不倫なんて許せないと思うでしょう。

家庭のことを考えれば、『ブロークバック・マウンテン』は不愉快ともいえる作品です。

イニスもジャックも、家庭を犠牲にしていることは痛いほどわかっていたことでしょう。

イニスが何もかもを捨て、ジャックと一緒になる選択をしていれば、少なくとも妻とのわだかまりを感じることはなかったはずです。

出典:IMDB

でもジャックと一緒に暮らせないのは、イニスの育ってきた環境、そして何より父親が同性愛者を殺したという恐怖が根底にあるからに他なりません。

とーる

時代が違っていたら。イニスの育ってきた環境が違っていたら。父親が同性愛者を殺していなければ。そんな気持ちになってしまうのも当然です。

認められない愛の苦しさ

当時、アン・リー監督は言いました。

イニスとジャックは、多分ゲイという言葉も知らないだろうと。

『ブロークバック・マウンテン』は、アメリカ中西部の1963年から1983年が主な舞台です。

時代や土地柄といったものもあるでしょう。

当時は同性愛など当然認められるはずもなく、イニスの父親が同性愛者を殺した事実も判明します。

そんな中、イニスとジャックは2人で過ごした山の輝きを忘れることができずに逢瀬を繰り返すのです。

出典:IMDB

あるシーンで、ジャックが「いっそおまえと別れることができたら」と言うセリフがあります。

別れたいのに別れられない。

とーる

きっとイニスとジャックの間にはもう、愛以上の重くて熱いドロドロとしたものがあったのでしょう。

依存や執着、独占欲といった言葉がイニスとジャックにはあてはまるのかもしれません。

『ブロークバック・マウンテン』まとめ

出典:IMDB

以上、ここまで『ブロークバック・マウンテン』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • 様々な困難を乗り越えて完成した作品
  • リスクを背負った俳優たち
  • 許されざる愛

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