『ミッドサマー』あらすじ・感想!明るいのに怖い!トラウマ女子を巻き込んだ祝祭が始まる【ネタバレなし】

映画『ミッドサマー』あらすじ・感想!明るいのに怖い!トラウマ女子を巻き込んだ祝祭が始まる!【ネタバレなし】

出典:映画『ミッドサマー』公式サイト

デビュー作『ヘレディタリー/継承』で世界中を恐怖のどん底に叩き落した鬼才アリ・アスター

2020年2月21日公開の新作『ミッドサマー』で彼が舞台に選んだのは白夜で常に明るく自然にあふれたスウェーデンの理想郷!?

しかしこの映画、明るいからこそ逃げ場がなく怖いんです!

そしてトラウマを追った主人公の心理セラピーの物語でもあり、かなり変則的な恋愛映画でもあります!

シライシ

今回は私シライシがジャンル分け不可能な“フェスティバル・スリラー”『ミッドサマー』の魅力を公開前に一足早くご紹介します!
ポイント
  • 燦燦とさす陽光が人を壊す!狂気の祝祭が始まる!
  • 明るい画面で起こることがエグ過ぎてもはや笑ってしまうレベル
  • 監督の実体験も盛り込んだセラピー恋愛映画でもあります

それでは映画『ミッドサマー』についてネタバレなしで書いていきます。

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『ミッドサマー』作品情報

(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

作品名 ミッドサマー
公開日 2020年2月21日
上映時間 147分
監督 アリ・アスター
脚本 アリ・アスター
出演者 フローレンス・ピュー
ジャック・レイナー
ウィル・ポールター
ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
ウィルヘルム・ブロングレン
ジュリア・ラグナースソン
アーチー・マデクウェエ
ローラ・トルキア
音楽 ボビー・クルリック

『ミッドサマー』あらすじ・感想【ネタバレなし】


あらすじ

アメリカの女子大生のダニーはある夏、予期せぬ不幸に見舞われ、精神が不安定になります。

彼女は唯一頼れる恋人クリスチャンについていき、スウェーデンの田舎で昔ながらの生活を続けているコミューン(集落)で行われている”夏至祭”に参加します。

(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

そこは美しい自然と、一日のほとんどが明るい白夜によってこの世とは思えない美しい風景が広がっていました。

しかし、そのコミューンが行っていた祭には恐ろしい秘密が隠されており、ダニーはさらに大きく取り乱し、クリスチャンと仲間たちは悪夢のような体験をすることになります…。

『ヘレディタリー/継承』と比較すると?

アリ・アスター監督は長編デビュー作『ヘレディタリー/継承』が「今世紀一番怖い」などど評され、いきなりトップ監督の仲間入りを果たしました。


シライシ

2018年の公開時、私も見たのですがこれは本当にすごかった。マジで永遠のトラウマです。

怖くて見られない人や、一度見てトラウマになった人が多いかと思いますが、『ヘレディタリー/継承』の恐怖を乗り越える方法が一つあります。

シライシ

それは、2回見ることです。

え?と思うかもしれませんが、『ヘレディタリー/継承』は人を不快にし恐怖のどん底に突き落とすために本当に精緻に計算されているので、展開を知って耐性ができた状態で見るといろんな仕掛けに気づいて「こんなところに伏線が!」「ここの演出はこんな意味が!」と恐怖よりも感心してしまうようになっているのです。

(C)2018 Hereditary Film Productions, LLC

シライシ

なので2回目の鑑賞によって「恐怖体験」から「よくできた映画の鑑賞体験」という印象になっていくらか気持ちが楽になりました(笑)

でもメチャクチャ怖いのは変わらず、ずっと心に残ります。

シライシ

ただ怖いだけじゃなくて、心底どんよりした気持ちになるんですよね。でもそのヤバさが癖になる。

そして、新作の『ミッドサマー』もそんな映画でした。

まだ1回しか見られていませんが『ミッドサマー』もいろんな仕掛けが周到に凝らされているんだと思います。

しかし、オーソドックスな正統派ホラーの装いだった『ヘレディタリー/継承』に対し、今回の『ミッドサマー』は見終わった後「何を見せられたんだ…?」と困惑してしまう内容になってます。

『ゲット・アウト』の後に『アス』を撮ったジョーダン・ピール監督のように、実績を作った後は監督が自分がやりたいものを突き詰めて、万人受けしないものを作り出すことは割とあります。

シライシ

とは言え、ここまでの怪作が生まれることは後にも先にもなかなかないのではないでしょうか。

ちなみにアリ・アスター監督はとある理由で『ミッドサマー』はホラーじゃないとインタビューで語っていますが、当然今回もめちゃくちゃ怖いです。

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いきなりのハードすぎる展開

『ミッドサマー』は冒頭数分で、前作『ヘレディタリー/継承』でみんなを心底嫌な気分にさせた「とある展開」と同じようなことをぶち込んできて、いきなり主人公の女子大生ダニーがとんでもない苦痛を背負わされます。

そして失意のどん底のダニーに対し、恋人のクリスチャンは全く寄り添おうとせず、夏休みに予定通り男友達とスウェーデンの田舎に旅行に行こうとしてしまいます。

寄る辺のないダニーはなんとかその旅行に同行させてもらうのですが、行った先には恐ろしい世界が待ち受けているのでした…。

(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

このハード展開は、実はアリ・アスター監督の個人的な体験に基づいているらしいです。

なんでもアリ・アスター監督は、若い頃にとある出来事(具体的には絶対言いたくないそうですが)で弟を亡くし、深いトラウマを負い、その体験が『ヘレディタリー/継承』に反映されているのだとか。

そして、その弟を亡くした時に当時付き合っていた恋人が全く自分に寄り添ってくれず、とてつもない孤独と不安に苛まされた経験が今回の『ミッドサマー』に反映されているとのこと。

シライシ

自分の体験をつぎ込んでいるからこそ、ここまで怖くなるのでしょうか。

企画自体は『ヘレディタリー/継承』でもプロデューサーを担当していたスウェーデン出身のラース・クヌードセンという人が、アリ・アスター監督に「スウェーデンにのこのこ旅行に来たアメリカ人の若者たちが現地人に殺される話を作ってほしい」というとんでもない注文をしたことから始まったそうですが、そこで自分のトラウマ体験をつなげてくるのがすごいです。

もちろんアスター監督は当時実際にスウェーデンに行ったわけではありませんが、ただでさえ孤独で不安でヤバい精神状態の時に、極北の異国に行って異常な体験をする中で主人公にさらなる変化が起きるというプロットは斬新です。

さて、ここまで読んで、アマゾンの奥地ならまだしも、なぜ福祉先進国家のスウェーデンに旅行に行ったらやばい目に会うのかと疑問に思う方も多いかと思いますので…

シライシ

決定的なことはぼかしつつ、主人公たちが訪れるスウェーデンの地について解説していきます。

一見理想郷のようなコミューンで開かれる異端すぎる狂気の祝祭

まず一つ書いておくと、『ミッドサマー』で行われている“祝祭”は、アリ・アスター監督がいろんな文献や伝承を調べて作り上げた架空の儀式です。

シライシ

現代のスウェーデンであんなことが行われているなどという事実はありません(笑)

しかし、今でこそ福祉先進国家と言われているスウェーデン及び北欧諸国ですが、もともとは『マイティ・ソー』でおなじみ北欧神話を信じ、『ヒックとドラゴン』で描かれていたようにバイキングが群雄割拠していた世界なんですよね。

出典:Wikipedia

ヨーロッパの中でも一番異質な文化を持っていた土地柄であり、極端な寒さや、夏の白夜、冬の極夜など季節による環境の差もすごい土地です。

『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』では北欧3国が実はメタル国家であることが描かれていましたし、昨年の『ボーダー 二つの世界』や『ぼくのエリ 200歳の少女』などの異様なファンタジー、胸糞映画作家でおなじみラース・フォン・トリアーに古くは名匠イングマール・ベルイマンを輩出するなど、世界中から「あそこはなんだか様子が違うぞ」と思われがちな地域なのではないでしょうか。

アリ・アスター監督は多くのインタビューで敬愛する作家にイングマール・ベルイマンを挙げていたので、北欧で撮るのは念願だったのでしょう。

そして劇中の北欧のコミューンでは90年に1度の”夏至祭”が行われており、来訪客のダニーたちもそれに参加するのですが、それがまさかすぎるレベルの奇襲が満載なのです。

シライシ

映像は見せられないので、コミューンの屋内にある絵の画像で想像してください。絵と全く同じことが起きるという意味ではありません。

(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

この映画に出てくるスウェーデンのコミューンの人々は悪人ではありません。

ただ、考え方、特に死生観や信じているものが我々とは決定的に違う

『ミッドサマー』はそんな人々とアメリカの今どきの若者が出会ったことによって生まれるギャップを恐怖に昇華しています。

(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

一体ダニーたちは何を目撃するのか?

そして、どんな目に会うのか?

そこには“夏至祭”が90年に1度の祭りということも大きく関係してきます。

我々には想像がつかない“生命の輪”がそこでは営まれているのです。

シライシ

これくらいならネタバレにはならないと思うので言いますが、普通に何人も人は死にます(笑)

(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

ぜひ劇場でご確認ください。

明るいのに怖い?いや明るいから怖い!斬新すぎる恐怖

映画『ミッドサマー』は、予告編などでも「明るいことが恐ろしい」と謳われていますが、見てみたら本当にその通りでした。

通常のホラー映画では何が潜んでいるかわからないとか、これから何が起こるかわからないとかそういった不安感をあおる目的もあって暗いシーンが使われたりしますが、『ミッドサマー』では否応なく起きる決定的なことを明るい画面で見せつけてくるのです。

シライシ

普通のホラーだったら暗いせいで見なくて済んでいたものががっつり映るので、そこまでグロが多いわけではありませんが覚悟が必要です。

おまけに明るい中で異常なことがにこやかなコミューンの人々によって行われるので「ここではこれが普通なんだ」という絶望感も増します。

(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

夜に怖いことが起きるのはある種しょうがない気がしますが、我々が普段安心している昼間の時間が侵食されているので、かなりザワザワします(笑)

そしてすべてがクリアに映ってしまうことによって、だんだんとシュールな笑いも生まれてくるのがこの映画の味わい深いところです。

シライシ

終盤にはモザイクがかかっている場面もあるので楽しみにしててください。

究極の恋愛セラピー映画

「ほんとかよ?」と思われるかもしれませんが、先ほども書いた通り、この『ミッドサマー』はトラウマと失恋の悩みに苦しむ主人公ダニーのセラピー映画にもなっています。

シライシ

失恋した人が人とのふれあいとか旅を通して立ち直る話って、映画でもドラマでもたくさんあるかと思いますが、『ミッドサマー』はその超エクストリームバージョンです(笑)

現代社会の日常生活で大きな心の傷を負ったダニーは、異様な”夏至祭”を通して、通過儀礼的に心身ともに洗礼を受けて新しく生まれ変わります。

(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

そしてコミューンの人々が極端すぎる手法でどんどんダニーのトラウマの要因を消していってくれるのです。

シライシ

昔『そんな彼なら捨てちゃえば?』という映画がありましたが、そのタイトル通りのことが終盤に起きます(笑)

劇中で起きていることは悲惨極まりないですが、なんだかんだ最後はハッピーエンドにも見えるとだけ書いておきます。

『ミッドサマー』まとめ

以上、ここまで映画『ミッドサマー』についてネタバレなしで書いてきました。

シライシ

「あ~怖かった~」なんて感想では済まない、あなたの心を激しく揺さぶる映画体験になるのは間違いありません。

逃げ場のない劇場でぜひ体験してください。

映画『ミッドサマー』は2月21日からTOHOシネマズ系列他で全国公開です!

要点まとめ
  • 監督の実体験と北欧あこがれが詰まったフェスティバルスリラー
  • 明るい画面で起きる狂気の祭は一生忘れられません
  • なんだかんだ最後は主人公が癒されるハッピーエンド?です
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